6月13日の兵庫県議会で、斎藤知事のパワハラ疑惑について調査するための「百条委員会」の設置が提案され、賛成多数により可決された。
【動画】知事のパワハラ疑惑調査へ「百条委員会」設置の動議 兵庫県議会で提出

知事の問題をめぐり百条委員会が設置されるのは異例で、兵庫県議会では1973年以来、およそ半世紀ぶりとなる。
■「知事のパワハラは職員の限界を超えている」「知事のおねだり体質は県庁内でも有名」県幹部が告発文配布 停職3カ月の懲戒処分

ことし3月、当時の西播磨県民局長(60)が斎藤元彦兵庫県知事のパワハラ行為などを告発する文書を一部の報道機関などに配布した。
告発文には「知事のパワハラは職員の限界を超えている」「知事のおねだり体質は県庁内でも有名」と記されていて、政務で斎藤知事が加西市の企業から6万円相当の商品が贈られていたことや、職員へのパワハラなど7項目にわたって知事への批判や疑惑が書かれていた。
県は内部調査の結果、告発文は「核心的な部分が“事実無根”」であるとして、元県民局長を停職3カ月の懲戒処分とした。
■維新や公明反対も百条委設置決定

しかし、一部の県議らは「内部調査は信用できない」などとして第三者委員会での再調査に加え、強い調査権を持つ「百条委員会」の設置を求めていた。
13日の議会で最大会派の自民党議員団とひょうご県民連合は共同で百条委員会の設置に関する動議を提出し、維新や公明の議員らが反対に回ったが、賛成50、反対35の賛成多数により可決された。
百条委員会は県議15人で構成され、元県民局長が告発文に記載した7項目について内容の真偽を調査する。関係者の出頭や証言を求めることが可能で、ウソの陳述や正当な理由がなく出頭を拒否した場合などは、禁固刑や罰金などが科せられることもある。調査期限は13日から調査終了までとなる。
■「第三者委員会」の調査だけでなく「百条委」設置が決まった経緯
当初、最大会派の自民党の幹部は百条委員会の設置に否定的で、「第三者委員会だけで十分」といった意見や、「調査結果を見てから決めるべき」という意見が出ていた。
しかし、告発文の疑惑の一部を斎藤知事が認めたことなどで自民内部でも風向きが変わり、「できる調査は全て行って県民のためにも事態を早く収束させるべき」という意見などから、会派として賛成に転じた。
■県の元職員がいる「第三者委」客観性への疑念

「第三者委員会」の調査に本当に客観性があるのかという疑念があったことが「百条委員会」設置への流れを加速させた。
第三者委員会の設置に向けた事務手続きは、県の代表監査委員が務めることになったが、代表監査委員は県の元職員だ。さらに、県の職員が事務作業にも関わることになる。
関西テレビが県の現役職員など複数の関係者に話を聞いたところ、「第三者が調べるとはいえ県の職員が関わっていては報復を恐れて本当のことを言いづらいのでは」と心配している人が多数いた。
百条委員会は関係者の出頭を請求できたり、ウソの証言をした場合は刑事罰に問われることもあるため、ある議員は「第三者委員会の調査ではうそをつかれてしまうかもしれないので、百条委員会を行うべきだ」と話した。
■副知事が自身の「辞職」と引き換えに「百条委」設置見直すよう求める

斎藤知事のパワハラ疑惑を巡っては、片山安孝副知事が自民党の控室を訪れ、自身の『辞職』と引き換えに百条委員会の設置を考え直すよう依頼していたことが明らかになっている。
■20メートル歩かされ叱責

また、県幹部が配布した告発文には、斎藤知事が「出張先の施設のエントランスが自動車進入禁止のため、20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされただけで、出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らした」と記されていて、関西テレビの取材に県職員など8人が「見たり聞いたり」したと答えている。
関係者によると、去年11月、播磨町の県立考古博物館で行われた地域の市長たちとの意見交換の場に向かう際、入り口までおよそ20メートル歩かされたことで、職員らを叱責したということだ。

この「20メートル歩かされ叱責したとされる件」について斎藤知事は5日の会見で、「時間が限られてる中で、移動する中で、私からすると適切ではない段取りがあったので注意をさせていただいたということはあります。それなりに厳しい口調で注意をさせていただいたということはあります」と話した。
設置が決まった百条委員会でこうした「パワハラ疑惑」が調査される見込みだ。
(関西テレビ 2024年6月13日)