千葉・幕張メッセで、日本最大規模のドローン展示会が開催され、会場では操縦技術を競うドローンサッカーや、被災地支援に役立つ大型ドローンなどが展示されている。
専門家は、自動飛行技術で有人地域での活躍が、今後さらに広がると指摘している。

多種多様な最新鋭ドローンが集結

5日から始まった日本最大規模のドローン展示会に、社会の「困った」を解決に導く、最新のドローンが集結した。

ドローンでゴールを狙う「ドローンサッカー」
ドローンでゴールを狙う「ドローンサッカー」
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高橋怜央奈記者:
赤チームのドローンが青チームのゴールを狙いますが、なかなか入れさせてもらえません。相当、操縦技術がないと難しそうです。

幕張メッセで始まったドローン展示会の会場(千葉市)
幕張メッセで始まったドローン展示会の会場(千葉市)

5日から千葉・幕張メッセで始まった日本最大規模のドローン展示会。

「ドローンサッカー」を楽しむ様子
「ドローンサッカー」を楽しむ様子

その会場で行われていた「ドローンサッカー」では、年齢や性別は関係なく、操縦技術と戦略を競う。

展示会場で「ドローンサッカー」を楽しむ人々
展示会場で「ドローンサッカー」を楽しむ人々

オーイーシー・野崎浩司 上席執行役員:
ドローンを操縦をする人口をもっと増やしたいという思いと、ドローンの認知度を上げていきたいというところで、こういう競技を通じて、皆さんに広く知っていただければと思います。

自宅で国家資格試験の練習ができる手のひらサイズのドローン
自宅で国家資格試験の練習ができる手のひらサイズのドローン

ほかにも、ドローンの裾野を広げることを目指し、国家資格の実地試験の練習を、自宅でもできるように開発された手のひらサイズのドローンの展示もあった。

全長6メートルある巨大なドローン
全長6メートルある巨大なドローン

高橋怜央奈記者:
さらに会場で目を引いたのが、こちらの巨大ドローンです。全長6メートルということで、隣に立つと大きさがよく分かります。

一度に200kgの荷物を運搬可能な巨大ドローン
一度に200kgの荷物を運搬可能な巨大ドローン

この巨大ドローンは、もはや“空飛ぶ軽トラック”のようで、一度に200kgの荷物を積んで、最長2時間飛行することができるという。

被災地支援にも役立つという巨大ドローン
被災地支援にも役立つという巨大ドローン

三菱重工民間機セグメント・間畠真嗣 主席技師:
こういった機体ですと、道路がなくても物資を、一度に200kg運べるということで、被災地への支援にも役立つと考えております。

離島や山間部などでも、活躍が期待されている。

展示会で展示された除雪ドローン
展示会で展示された除雪ドローン

また、困っている人の声から生まれたドローンも展示された。除雪ドローンの開発のきっかけは、水上ドローンの実証実験を行った山形県で言われたこんな一言だったという。

除雪ドローンの開発理由を話すエバーブルーテクノロジーズ・野間恒毅 代表取締役社長CEO
除雪ドローンの開発理由を話すエバーブルーテクノロジーズ・野間恒毅 代表取締役社長CEO

エバーブルーテクノロジーズ・野間恒毅 代表取締役社長CEO:
「毎日雪が降って、毎日除雪しなきゃいけないから、除雪してくれないか」というふうに言われて、そんなに困ってるんだったら、われわれも取り組んでみようということで、この除雪ドローンの開発に至った。

「Japan Drone 2024」は6月7日まで開催される
「Japan Drone 2024」は6月7日まで開催される

最新鋭で人に寄り添ったドローンが集結したこの展示会は、幕張メッセで6月7日金曜日まで行われる。

新制度により技術開発や活用幅が拡大

「Live News α」では、暮らしを変えるテクノロジーに詳しいIoT NEWS代表・小泉耕二さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
ーードローンの可能性が、広がっていますよね?

 IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
実は、ドローンが重いものを持ち上げるのは簡単ではありません。VTRで三菱重工のドローンがありましたが、200kgという積載重量を実現するドローンとなると、それ相応のパワーで浮く力が求められます。

ドローンは、軽い方が飛行時間も長くなるのに、そのパワーを得るために電池やモーターなどが重くなる、この矛盾をクリアする必要があります。

またドローンを、物流などさまざまな場面で活用するには、人が見ていなくても自動的に飛ぶことができる「目視外飛行」を実現する必要があり、これによって活用の幅も広がります。

堤キャスター:
ーー具体的には、どんな場面での活用が期待できるのでしょうか?

 IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
工場や物流倉庫といった屋内の私有地は横風などがないため、制御しやすく、利用が進みやすいです。

一方、屋外はというと、従来は人があまりいないビルや、ダムのひび割れ、鉄橋の老朽化などを監視するようなものが多かったのですが、2年前に「レベル4」と呼ばれる目視外飛行の新制度ができたことから、有人地域の上空でのドローンの自動飛行が可能になりました。

三菱重工のような積載重量の大きいドローンも、こういった背景から活躍が期待されます。今後は、花火大会などの大型イベントで混雑する会場付近を警備したり、住宅地の上空から3D測量を行ったり、さらには災害などの緊急時に、物資の運搬や救護活動を行うなど、さまざまな活用が期待できます。

効率的な運用システムの構築を期待

堤キャスター:
ーー一方、課題については、いかがですか?

 IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
目視外飛行を行うには、厳しい機体認証の取得や、運行ルールを守る必要もあります。

ドローン同士や、飛行機などとぶつからないために、航空管制のような仕組みも必要になります。こういったさまざまな問題をクリアしたうえで、採算が取れるようなビジネスモデルが作れるのか、といったことも問題になります。

ただ、馬車の時代に自動車が誕生した時も、同じようなことが起きていたはずです。効率的にドローンを飛ばせて、全体最適を図れるサービスインフラの構築を期待したいです。

堤キャスター:
ドローンの活用については、技術の研究開発に加えて、プライバシーにおける課題などもクリアしていくことを期待したいです。
(「Live News α」6月5日放送分より)

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