各地で警報級の大雨となった28日。夕方から雨の強まった福島県西郷村では、避難を検討する家族がいました。

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その理由は…、自宅のすぐ後ろに“無許可”で積まれた、高さ30mの「盛り土」です。

電線より高く積まれた「盛り土」
電線より高く積まれた「盛り土」

取材スタッフ:
かなりの高さで土が盛られています、電線も低い位置に感じます。盛り土のすぐ裏には住宅があります。

住宅と5mほどしか離れていない場所に盛られた大量の土。
この住宅で母と夫と3人で暮らしている児山さんによると、去年の7月ごろから土砂は運ばれ始めたといいます。

児山美智子さん:
ここは雑木林だったんですよ元々。その雑木林を、木を倒しながら埋め込む感じでこの土砂が入ってきたんです。(雑木林を)重機でつぶしながら、土を盛っていった。

2階の窓際には、風で飛んできた砂が溜まっている状態に…。

去年の11月に撮影された映像には、盛り土の上で土を盛る重機と、土砂が斜面を流れ崩れ落ちる様子も映っていました。

児山美智子さん:
夜中私たちが休もうとする時間に土砂が搬入されてきた。(通報したが)注意しておきます、みたいな感じで、そんなに重く受け止めてもらえなかった。

不安を募らせる住民の声を受け、西郷村は去年12月、盛り土などを規制する条例を制定。それでも、盛り土は残されたままでした。

児山美智子さん:
不安でしかないですね。雨・風・地震、あと線状降水帯っていうのが、もしここに来たらどんなになっちゃうのかなって。

不安を隠せない児山さん一家のために、西郷村は避難場所として村営住宅を用意してはいますが、児山さんがこの家に住んで44年。なかなか家から離れることができないといいます。

強まる雨に一時避難も…

28日、西郷村では朝から雨。午前8時ごろに児山さん宅を訪ねると、雨の影響でしょうか、盛り土の表面の一部には岩のような物が転がったとみられる跡がありました。

雨が降る中、不安そうに盛り土を見る児山さん
雨が降る中、不安そうに盛り土を見る児山さん

児山美智子さん:
私たちは仕事にこれから行っちゃうので、母が1人になっちゃうので、1人置いて行くのは心配なんですけど。「雨が続くようだったら支援住宅の方に行ってください」とは言ったんですが…。

仕事のために外出した児山さん夫婦。家に残った児山さんの母親は、午前9時頃、徐々に強くなる雨脚に、不安を口にします。

児山キチさん:
やっぱり不安だよね、盛り土の件もあるし。そういうときは心配だね、誰も居ないときは。

不安な気持ちで、1人過ごすこと数時間…。午後には児山さんが帰宅しました。

児山美智子さん:
「ただいま」って帰ってきて。(母の)顔見て、「良かったね」って安心するっていうのが日常。

しかしその安心もつかの間、雨はだんだんと強くなっていき、その影響は家の裏にある盛り土にも出ていました。

ふもとには水たまりができ、ひびが入っているのも確認できます。

児山英雄さん:
(状況によっては)村が提供している支援住宅、そちらに移動しようと思っています。

最終的に、児山さんらは村営住宅へ避難。そこで一夜を過ごすことになりました。

盛り土への対応を巡っては、福島県都市計画課によると、「地質調査を実施し、現在はその解析中で危険性があると判断されれば、改善命令を出していく」ということです。

ただ、盛土規制法が運用される前にできた盛り土のため、完全に撤去ということはできず、「高さを低くする」など危険性を下げることしかできないということです。
県側は、「住民の方も不安を感じているので、村とも協力しながらなるべく速やかに不安を払しょくしていきたい」と話しています。
(めざまし8 5月29日放送)