近年トレーディングカード(トレカ)を使った対戦ゲームが人気となっている。そして対戦ゲームに欠かせないのが、対戦スペースだ。いま鹿児島市の街中で対戦スペースを備えた施設が続々とオープンしている。その人気の背景を取材した。

1枚19万2000円のカード!?

漫画やゲームなどの買い取り・販売で知られる全国チェーン店ブックオフは、2024年3月、鹿児島市東郡元町にトレーディングカードだけを扱う専門店「ブックオフ鹿児島ジョイプラザ店 トレカ館」をオープンさせた。

店内に並ぶトレーディングカードを陳列した棚
店内に並ぶトレーディングカードを陳列した棚
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店内に入ってみると、トレーディングカードを陳列した棚がいくつも並んでいた。

トレーディングカードと一言で言っても、様々なおもちゃメーカーなどが人気ゲームやアニメを題材にそれぞれ独自の商品を販売していて、その種類は様々だ。

新品で定価の場合、ランダムに選ばれたカードを5枚1組で180円程度から購入できるが、こういった専門店ではカード1枚ずつでの売買も取り扱っている。

中には超高額なカードも
中には超高額なカードも

めったに手に入らないコレクション用のカードなら価値がどんどん上がっていくことがあり、この店でも、19万2000円という驚くような価格のカードがあった。ただ、ここまで高価になるカードはほんの一握りだという。

子育て施設が対戦スペースに?

こうしたトレカに対戦要素を加えたのが、トレーディングカードゲームだ。

自慢のカードを持ち寄ってお互いのカードの強さを比べ、勝利を目指す。年齢や性別に関係なく遊ぶことができ、県内でも大会が開かれれば多くの参加者が集まるなど、ここ数年、その人気は高まっている。

そして人気を支える上で欠かせないのが対戦スペースだ。椅子とテーブルが並んだシンプルな空間だが、プレーヤーにとっては交流の機会も確保できる大切な場所だ。

「ブックオフ鹿児島ジョイプラザ店 トレカ館」も、今回のオープンにあわせて80席の対戦スペースを設けたという。
そしてこの対戦スペースが、人気の高まりを受けて今、鹿児島の街で増えている。

普段は子どもたちのかわいい表情あふれる空間だが…
普段は子どもたちのかわいい表情あふれる空間だが…

鹿児島市宇宿にある有料の子育て施設「知育玩具ひろば そだて」。
豊富に並んだおもちゃに子どもたちが夢中になり、かわいい表情があふれる空間だ。しかし、午後4時になると子育て施設の営業は終了し、おもちゃが片付けられテーブルが並べられていく。

夕方になると大人たちが次々と店に集結
夕方になると大人たちが次々と店に集結

実はこの子育て施設はホビーショップが併設されていて、日中は子育て施設、夕方からは対戦スペースとなっているのだ。2022年7月のオープン当初から併設されていて、夕方になるとカードゲームのプレーヤーたちが次々と店を訪れる。今までいた子どもたちと全く年齢が違う大人たちだ。

「そだて宇宿店 POCKET HOBBY」の逆瀬川勇造さんは、「空いている時間をつくらないという意味で効率が良く、子ども向けの施設なのでカードゲームはマッチする」と考えたそうだ。

カードゲームのプレーヤーの中には夫に「1回でいいからやってみて」と勧められ、はまったという女性の姿も。夫婦で始めて3年になるが、やればやるほど奥が深いという。カードショップでカードを集め、少しずつ強くして対戦して戦術を磨くことに夢中になるようだ。

コロナ禍が人気を後押し

人気の裏付けはデータにも表れている。日本玩具協会によると、カードゲーム、トレーディングカードの国内市場規模は2021年度に急上昇し、2022年度は前年度比132.2%の2349億円に達した。この数字は国内玩具市場の約25%を占めることになる。

ここまで人気が高まった要因について、専門家が挙げるキーワードは「親子」と「リバイバル」だ。国内のトレーディングカードゲームの先がけは、1996年のポケモンカードだった。

発売からもうすぐ30年。サブカルチャーに詳しい文殊リサーチワークス・三浦直子さんは、「その時代に遊んだ世代が今、子どもと一緒に遊ぶ状況だ」と話す。特に父親は自分の趣味を子どもと一緒に楽しみたいという意識があり、コロナ禍で父親が家にいることも、子どもとトレカで遊ぶ状況を後押ししたと三浦さんは分析している。

こうした背景の中で、5月24日、南九州の玄関口であるJR鹿児島中央駅の商業施設「アミュプラザ鹿児島プレミアム館」に「カードショップ彩々」がオープンした。ビルの最上階で新幹線ホームを見下ろせる店内には、32席の対戦スペースが設置されている。

今回は期間限定の出店ということだが、ショップ、駅ビルとも、客層の拡大を期待している。カードショップにとっては商業施設に訪れる女性客の来店誘引に、アミュプラザ鹿児島は子どもから大人まで楽しめるコンテンツとしてのカードゲームに客層拡大の可能性を感じているという。

近年にない高まりをみせるトレカ市場。鹿児島でも増える対戦スペースは、人々が集う場所として、これからもにぎわいをみせそうだ。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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