手頃な価格で大人気の寿司ネタ、サーモン。その価格がマグロより高くなる異常事態が起きている。「イット!」取材班は23日、神奈川・大和市にある回転寿司店に向かった。

この記事の画像(8枚)

子供や女性がサーモンをほおばり、「おいしい!幸せだなー!」などと喜ぶ姿が見られる。トロのような脂がのったサーモンは1皿250円で、北欧のノルウェー産だ。しかし、2023年に50円の値上げをしたばかりだという。

独楽寿司 大和本店 渡邊玲登店長:
やっぱり人気商品なのでやめられない。ずっと使ってますので、ノルウェー産を…。

ノルウェー統計局の情報によると、ノルウェー産サーモン(サケ・マス)の輸出価格は3年前に比べて、24年3月時点で約2.5倍に上昇している。こちらの回転寿司店でも、仕入れ値は2倍近くに上がったという。

独楽寿司 大和本店 渡邊玲登店長:
値上げは検討するとは思います。急に上げてしまうと、お客さまが離れてしまうので。

価格の高騰で、サーモンはもはや気軽に食べられる寿司ではなくなっている。さらに値上がりした場合はどうなるのか。
お客に聞くと、「高くて手が出せない」という声もあれば、「好きだから食べます、私は…」と答える人もいた。

南米の「チリ産」に変える動きも

こちらは、横浜市内にある別の回転寿司店。ノルウェー産サーモンの価格高騰を受け、半年前から南米チリ産に切り替えている。

しかし値段を見てみると、マグロ(めばちまぐろ)の赤身は1皿290円だが、生サーモンの値段は350円。マグロよりサーモンの方が高いのだ。この店では安定的にサーモンを入荷するため、チリ産に変えたが、仕入れ価格はノルウェー産とほとんど変わらないという。

まぐろ問屋 三浦三崎港 川股竜二大将:
サーモンはマグロの中トロぐらいの仕入れ値になってますから。売価もそれ(中トロ)くらいにしないと合わないので。品質を落とさないで販売するには、売価を変えないといけない時が来ると思います。

都内のスーパーでも、刺身用のサーモンをチリ産に変えたところがある。こちらは冷凍することで輸送コストを削減し、100g399円(税別)という価格に何とか抑えているという。

訪れていた客は、「(生のサーモンは)子供が火を通すと食べやすいので、結構使いますね。(高騰は)つらいですね」と話した。

価格高騰は「ロシアのウクライナ侵攻」が影響か

ノルウェー産サーモンの価格はなぜ高騰しているのか。専門家はこのように分析する。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏:
ロシアのウクライナ侵攻以降、ロシアの領空を飛行できなくなってしまってますから。(サーモンを)輸送するときに距離が長くなって、輸送費の高騰でサーモン自体の値段も上がっている。ある程度の値段を払わないと、サーモンが食べられなくなることも、覚悟しておく必要がある。
(「イット!」5月23日放送より)