東京から本社の一部を珠洲に移転した企業が、奥能登の素材などを使ったヘルスケアブランドを立ち上げた。新ブランドに込めたのは能登復興への思いだ。

東京から本社機能を一部移転後に被災

東京日本橋に本社を構える企業、アステナホールディングス。2021年に本社機能を珠洲市蛸島町にある古民家「文藝館」に一部移転し、奥能登の産業を支える事業に取り組んでいた。しかし元日の能登半島地震で、珠洲市は震度7を観測。「文藝館」は大きな被害を受け、修復できない状態となった。アステナミネルヴァの清水雅楽乃社長は「中もきれいにリフォームして、古民家と現代がきれいに融合するような形の建物だったんですけど、もうこんな状態ですね…」と肩を落とす。

アステナミネルヴァの清水雅楽乃社長
アステナミネルヴァの清水雅楽乃社長
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奥能登の酒粕や菊炭を商品に活用

苦しい状況の中で、奥能登の素材や技術を新たな形で広めようと、ヘルスケアブランド「NAIA」を立ち上げた。清水社長は「お米を食べる人も、日本酒を飲む人も少なくなっている。そもそも人口自体が日本全体で減っているので、職人の技や一次産業から出来上がってくるものを、違う形で商品にしていくというチャレンジをしました」と話す。商品はフェイスパックや洗顔など、美容や健康に関するものが中心。素材の一部に日本酒から出る酒粕や菊炭といった珠洲の産業で生まれたものを使用している。

新ブランド「NAIA」の商品
新ブランド「NAIA」の商品

同じく珠洲市蛸島町にある櫻田酒造。地震で建物は全壊した。NAIAの商品には、ここの酒粕の成分が使われている。櫻田酒造4代目の櫻田博克さんは「酒粕を使って新しい商品を作るということで非常に面白いなという感覚はあった。すごくおしゃれで『さすが社長!』というような感じで、いい感じになっていると思いました」と笑顔を見せた。酒蔵は崩れ事業の継続すら危ぶまれたが、櫻田さんは酒造の再建を決断した。背景には、清水社長の存在が大きかったという。櫻田さんは「社長から『どんなことでもお手伝いするので頑張ってください』と言われ、心強かったですね。大船に乗ったつもりというか、何かあっても社長が助けてくれるというか、都合のいいことを考えています」と話した。

櫻田酒造の櫻田博克社長
櫻田酒造の櫻田博克社長

能登復興への思いを商品に託す

苦しい今だからこそ立ち上げた、新ブランド「NAIA」。能登復興への思いが詰まっている。清水社長は「私たちができることは奥能登の経済面での復興に貢献することだと思っています。私たちの商品がしっかりと売れていくことで事業者や地域への還元ができると思っています」この商品は2024年5月22日からインターネットで販売される。

(石川テレビ)

石川テレビ
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