“時間制のカフェ”が新たに東京・銀座に誕生した。
それがカラオケチェーン店「カラオケ館」を運営する株式会社B&Vが5月8日にオープンした「タイム珈琲店 銀座店」だ。
店内は、座席数112席(1階:禁煙フロア42席、地下1階:喫煙フロア70席)あり、都会のあわただしい喧噪の中で空港ラウンジのようなゆったり落ち着いて過ごせる空間をイメージしたという。

利用方法は入口の端末で「滞在時間」を選択し購入。出てきたレシートのQRコードをかざすことで入退店ができる。
追加の注文をする場合は、店内にある多機能セルフレジでセルフオーダーを行い、呼び出し用のサイネージに表示される番号を確認して商品を受け取る。同様の手順で「滞在時間」の追加購入も可能だ。

リクライニング席でゆったり過ごしたり、Wi-Fiと各席には電源完備なのでリモートワークにも活用できそうだ。
またドリンクは飲み放題。スペシャルブレンド豆・エメラルドマウンテン豆・キリマンジャロブレンド豆を使用したこだわりの珈琲、ソフトドリンク、4種類の健康茶と、全52種類の豊富なドリンクがあるという。
30分単位の時間制システム(最初は60分から)で出入りは自由。基本料金は60分990円(税込み)からで、30分の延長ごとに495円(同)。営業時間は午前7時~翌5時までとなっている。
背景には新型コロナウィルスの影響
セルフサービス型の時間制という新たな業態のカフェとのことだが、どのようなメリットがあり、どんな客層を想定しているのだろうか? 株式会社B&Vの営業推進本部・荒井兼一さんに話を聞いてみた。
ーーなぜ時間制カフェをオープンしたの?
現在の事業構成は、新型コロナウィルスの感染拡大のような、社会情勢の変化に弱い構成になっております。そのため、特に弊社の主力事業である、カラオケ業態については行政からの制限で最も影響を受けた事業の一つです。
2023年8月、外部環境の変化に耐えられる「グランピング事業」を開業いたしました。複数展開を予定しているものの、開発などからオープンまで年数が掛かってしまうため、まだまだ主力事業では御座いません。更なる事業拡大が必要と判断し、弊社の強みでもある駅前立地の自社ビルを活用した新業態の展開を決定いたしました。

ーーセルフサービス型の時間制にしたのはどうして?
「タイム珈琲店」は弊社が運営する店舗にて初めてのセルフサービス型システムを採用した店舗となります。
コロナ禍を経て、飲食業界では人手不足が続き、弊社も人員確保が大きな課題となっております。さまざまな環境変化に対応すべく、最新のデジタル技術を用いた店舗運営が求められており、これまでカラオケ館でも、ネット予約の導入やモバイルオーダー、自動精算などDX化を推進しております。
ーーセルフサービス、時間制だからこそのメリットは?
時間を気にせずいつでも出来たての珈琲が飲めることと、フリータイムでお得に長時間滞在できる利点があります。

ーーこだわった部分はどこになる?
無人セルフレジ・無人ゲートの導入により、モーニングランチの無料提供や豊富なラインアップのフリードリンクのサービスが可能となっております。リクライニングシートとWi-Fi・電源完備もこだわりです。
ビジネスマンやインバウンド層を想定
ーーどのような客層を想定している?
平日はビジネスマン、土日・祝日は買い物客やインバウンド層となります。
「カラオケ館 銀座総本店」をかまえるこちらのビルは弊社の自社ビルとなります。コロナ禍において、リモートワークの普及での出勤率の減少や宴会需要での利用が減少して夜の回復が見込めない中、平日はビジネスマン、土日・祝日は買い物客やインバウンドで賑わっている銀座はカフェ店舗の出店数が多くありますが、弊社のコンセプトであれば勝算はあると考えております。
ーー8日に開店したが、現在の反響はどう?
週末はたくさんのお客様にご来店頂いていますが、カフェは認知度が重要なため、今後徐々に浸透していくと考えます。喫煙エリアが大きい事の反響が多かったです。
銀座エリアでも喫煙場所を探している方や路上喫煙の方が多いので、街の景観的にもお客様のニーズにも応えることが可能かと思います。

新たな業態のカフェ誕生の背景には新型コロナウィルスの影響があった。なお6月上旬には歌舞伎町に2号店のオープンを予定しているという。
入退店や注文がセルフサービスなので、人と接するのが苦手な人も行きやすいかもしれない。