5月1日、新潟県長岡市で開かれたメーデーに姿を見せたアイドルグループTOKIOの元メンバー山口達也さん。「人生をあきらめない」というテーマで講演した。今もアルコール依存症と向き合う山口さんが依存症に陥ってしまった背景などを語った。

医師の診断で認めた“アルコール依存症”

「2018年、事件を起こして芸能界を一瞬にして去りました。私はその時に依存症であるということに気付かなかった。その2年後、2020年、多分ニュースで見た人はたくさんいると思いますけども、私は飲酒運転事故を起こす。ベロベロの人間が約30分間、東京都内、朝の8時台運転していました。そこで私は逮捕されるんですけど…」

講演の冒頭でこう語り始めたのは、アイドルグループTOKIOの元メンバー・山口達也さんだ。

山口達也さん
山口達也さん
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事件や事故を起こしても、医師に診断されるまで「自分がアルコール依存症だとは思わなかった」と話す山口さん。今となっては「当時の飲み方は異常だった」と振り返る。

「私がアルコール依存症というのを認めたのが、今から3年半ぐらい前です。48歳のころです。冒頭で申し上げた通り、医者に宣告をされて、自分がアルコール依存症者だと認めたんですよね。そこで初めてアルコール依存症者が生まれたと思っています。でも振り返ると、多分35~36歳、自分が認める10年ぐらい前から、もう飲み方がおかしかったなというのはあります」

なぜ依存症に?「すべての始まりは不安」

一体なぜ、山口さんはアルコール依存症になったのか。その理由についても講演で語った。

「私の場合、全ての始まりは不安でした。『山口くん、何が不安なの』と。あんなに張り切ってタンクトップ着て、海に潜ってね。毎日毎日働いて、うえーって言って歌って、何が不安なの。不安なの。仕事はすごく充実していました。楽しかった。だから酒を飲んだ。エネルギーがあった」

コンサートで“ファンを楽しませなければ”という思いや、複数のテレビ番組のMCを務める中で出演者に対する話の振り方などに悩んだこと、周囲と自分を比較してしまったことから「不安」が生まれたと振り返る。

「本当はこの人はそういうふうに思っているんだろうかとか、何かもっともっと自分はやらなきゃいけないんじゃないかなと思い始めたんですね。これが不安。なにかというとやっぱり人と比べる。あの人のほうが司会はうまいんじゃないか。歌手でいうと、あの人のほうが楽器が上手いんじゃないか」

他人と比較することで、負のループに入り、自己肯定感を下げることにつながったという。

「『なんで俺は』というふうになっちゃう。それが依存物質・依存行為につながるかもしれないですね。私の場合はお酒によく頼って、楽しい、幸せだったと思いながらお酒につかまっちゃっていた。自分は気付かない。周りの人から気付く、『あの人やばい』と。一番最後に気付くのが本人」

未来を変えるために…「自分を受け入れる」

現在は酒を一切飲まずに、アルコール依存症と向き合っているという山口さん。

自分を受け入れ、変えられない過去ではなく、未来を変えるべく歩んでいるという。

「自分を変える。山口達也は何をしたかというと、アルコール依存症であることを認めたんですね。変えられるものは何?自分はお酒を飲まないということを決めた。全部の未来の自分を決めていって、今ここに立っている。お酒が止まって3年半。飲むことも選択できるんです。この直後、飲めるんです。でも、飲まない選択をずっと自分の未来にしていくんですよね。なかなか嫌な過去や苦しい過去、やってしまったこと、トラウマ的なこと、これを認められなくて依存症になる人はたくさんいるそうです。じゃあ、どうするのとなった時に今の自分を受け入れるということです」

自身がアルコール依存症だと受け入れたことで、生きやすくなったという山口さんが講演の最後に語ったのは…

「他人とか過去とか実は関係なくて、今は真っすぐチャレンジしている。俺は死ぬまで諦めない。決めています。タレントだから言っているわけじゃないです。みんなも絶対諦めないでやっていこうというものがあると思うので、ぜひ参考にしていただけたらなと思います」

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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