新入学のシーズンを迎える学校では今、「和式」中心だったトイレの「洋式化」が進んでいる。多くの人が一度は使ったことがあるであろう和式だが、最近は、小学校に入学するまで一度も和式を見たことがなく、入学後に困惑する子供たちが増えているという。背景には、子供たちを取り巻く生活様式の変化があった。

和式トイレ「一度も使ったことがない」

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2025年度で開校50周年を迎える仙台市宮城野区の中野栄小学校。2023年に開始した耐震化工事に合わせて、校内全てのトイレで改修工事を実施。和式を無くし、洋式化を進めている。
中野栄小学校の丹野憲教頭はその理由について
「子供たちが生まれてから1度も和式のトイレを使ったことがないというような現状で、やはり普段の生活環境と同じような環境を整えるために改修している。」と話す。
小学校に入学する子供たちにとって、和式トイレはまさに“未知の存在”だという。

事前に練習してくる子供も…加速する“和式離れ”

新たな洋式トイレは、便座の保温機能も備えられているほか、明るいLED照明に変更。トイレが子供たちにとって“行きやすい場所”になるよう改修を進めている。
こうした洋式化の背景には、子供たちの間で急速に進む”和式離れ”がある。
丹野教頭によると、入学してから初めて和式トイレを目の当たりにし、使い方や向きがわからず困惑する子供が多く、事前に練習してくる子供もいるという。家庭や商業施設のトイレのほとんどが洋式化されている今、子供たちが和式に接する機会は急速に少なくなっている。

『洋式化率』は56.2%!進む学校トイレの工事

子供たちの生活様式の変化に合わせて、行政も対応を進めている。仙台市教育委員会によると、仙台市立182の小中学校のトイレの『洋式化率』は、2020年9月時点で37.5%だったが、2024年3月末には56.2%まで向上している。
一方で、いまだ洋式化率が50%に達していない学校は、全体の2割にあたる35校あり、市教委は2027年度末までに、すべての学校で50%を超えるよう工事を進めている。

トイレ我慢する子も…暗くて怖いイメージからの脱却

中野栄小学校の改修前の男子トイレは、和式が2つに対して、洋式が1つ。開校当時からほとんどそのままだというトイレは薄暗く、個室の中に入るとその中ははかなり狭いうえに、暗い。子供たちの普段の生活環境とギャップが大きく、トイレの利用を避けてしまう子供たちも多いという。

中野栄小学校 丹野憲教頭
中野栄小学校 丹野憲教頭

「暗くて怖いというイメージからトイレを我慢する子供たちもなかにはいる。健康で安全な生活を送るためにやはり使いやすいトイレを整えるということは非常に重要だと考えている。」(中野栄小学校・丹野憲教頭)

衛生面に加え、防災機能の強化などから進む学校トイレの洋式化。文部科学省では、トイレの改修を含めた教育環境の改善に取り組むとしている。
(仙台放送)
 

仙台放送
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