生体認証を活用したセルフレジが11日、日本で初めて埼玉県のスーパーで導入され、指の静脈情報で決済や年齢確認が可能になった。キャッシュレス決済比率が半数に迫る中、専門家はその利便性と安全性を評価し、小売業の労働環境改善にも期待を寄せる。

日立製作所と東武鉄道が開発

生体認証を活用したセルフレジが、日本で初めて登場した。

センサーに指をかざして会計できる生体認証セルフレジ
センサーに指をかざして会計できる生体認証セルフレジ
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高橋怜央奈記者:
こちらのレジでは、指3本を専用のセンサーにかざすだけで、一瞬でお会計をすることができます。

生体認証セルフレジは、日立製作所と東武鉄道が開発したもので、埼玉県内にあるスーパーで、11日から導入された。

事前に登録しておけば、指の静脈を専用のセンサーで読み取るだけで、年齢確認やクレジットカード決済、ポイント付与などを行うことができるという。

生体認証セルフレジを利用する買い物客
生体認証セルフレジを利用する買い物客

買い物客(40代):
いつもだったらポイントカードを出して、クレジットカードとかスマホとか出して、QRコードも出してとかいうひと手間が、手一つだけで済んでしまうのですごく便利でした。

日立製作所は今後、生体認証技術を他のサービスなどにも展開したいとしている。

不正利用リスク抑制、パスワード管理も不要

「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤礼実​キャスター:
今回の試み、どうご覧になりますか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
いま、支払いにおけるキャッシュレス決済比率が45%を超え、いよいよ半数に迫る勢いとなっている。

セルフレジの決済には、電子マネー・QRコード・クレジットカードなど、様々な手段があるが、利便性の高さで本命とされる生体認証による決済が本格的に導入されることは意義深い。

生体認証は、スマホのセキュリティでもお馴染みとなっている方も多く、消費者の利用の障壁は低そうだ。

堤キャスター:
買い物の際、便利そうですね。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
本当の手ぶら、財布はもちろん、スマホやカードなどを持たずに素早くレジ決済ができて、ポイントも付与されるのはうれしい。

さらに身体の特徴を利用した決済のため、不正利用のリスクが低く、パスワード管理も不要になる。

堤キャスター:
店舗側のメリットについては、いかがですか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
小売業の人手不足対策として、セルフレジの進化は必須となっている。今回の生体認証は、決済以外も対応できるのは素晴らしい。

年齢確認が可能なため、アルコールやタバコなどのライセンス商品の販売も簡易にできるのは店舗にとって大きなポイント。

“タバコ販売などに導入で効果大”

今回、「東武ストア」の一部店舗での導入となるが、これが様々な店舗に普及していくと、スタッフの働き方も変わっていくのではないか。

堤キャスター:
具体的には、どう変わっていくのでしょうか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
例えば、コンビニの場合、タバコは1日の売り上げの約4分の1を占める大事な商材だが、今はタバコの購入者があると、スタッフは品出しや清掃などの業務を中断してカウンターに戻り、年齢確認などのレジ決済対応を行っている。

これがセルフ決済で完結できると、スタッフの働き方がずいぶんと楽になる。ただ、導入当初はシステムが複雑になるため、トラブル発生時のバックアップ対応など、いくつか課題はあるが、運用していく中で、走りながら改善されていくだろう。

堤キャスター:
便利さとともに、安心して利用できることも大切です。人の働きをサポートしてくれる“新しいもの”を上手く使いこなせるような、社会のアップデートを期待します。
(「Live News α」4月11日放送分より)

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