自転車のヘルメットの着用が努力義務化されてから1年が経った。認知は増加したものの着用率は伸び悩んでいる。岡山県内の現状を取材した。

伸び悩むヘルメット着用率

もしもの時のためにヘルメットは重要なアイテムになる。岡山県警によると、過去10年間で自転車の事故に遭って死亡した人の数は128人。

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このうちヘルメットを着用していたのはたった5人だった。

亡くなった128人のうち、4割に当たる55人が頭部を損傷。また、40人が用水路などに転落し、頭部を打つなどして意識を失い、窒息・溺死となっている。死傷者全体に占める死者の割合はヘルメットを着けていなかった場合、着用していた人の3.5倍にのぼる。

岡山県警によると、県内のヘルメット着用率は3月で11.3%。全国平均の13.5%を下回っている。県警は自転車の取り締まりや啓発活動を行っているが、定着には程遠いと言える。

ヘルメットに似合う髪型を提案

自転車のヘルメット着用について街で聞いてみたところ、「周りがかぶってないからかぶる発想にならない」、「周りを見ても定着していないので(かぶらなくても)いいかなと思う」、「事故に遭った時など頭を打ったら危ないのでつけるようにしている」、「髪の毛が崩れないような形のヘルメットがあれば、嫌がらずにつけられる」といった声が聞かれた。

岡山南警察署・遠部英治交通官:
今まで着用しないことが当たり前だったものが着用しないといけなくなった。まだ受け止められない県民がいる。特に高校生などは髪型を気にして着用していないのではないか。

ヘルメットの着用率アップに向け、岡山県内でも様々な取り組みが始まっている。

ノートルダム清心女子大学はJAFと連携し作成したヘアカタログ
ノートルダム清心女子大学はJAFと連携し作成したヘアカタログ

岡山市のノートルダム清心女子大学はJAFと連携し、ヘルメットを着用してもくずれない髪型を提案するヘアカタログを作成した。髪型は大学生と美容師が協力して考案、手順とポイントを写真付きで紹介している。

ノートルダム清心女子大学 3年・馬越美佳さん:
オシャレにヘルメットをかぶれるならぜひかぶりたいと思ってもらえたら。まずは女子中学生・高校生から取り組んでほしい。

「命を守るため」に着用を

ヘルメットの購入費用を助成する自治体もある。笠岡市では、4月から市内で2500円以上のヘルメットを購入した市内在住の人に対し、市内で使える1000円分の共通商品券が助成される。この1週間で6件の申請があった。

笠岡市協働のまちづくり課・虫明賢次課長:
(自転車)販売店の店主から助成制度があると言ってもらい、購入者の申請につながる。(既に)ヘルメットを購入した人もいるが、助成制度をきっかけとして、ヘルメットの着用を促していきたい。

岡山南警察署・遠部英治交通官:
自転車は便利な乗り物だが、事故をしたときにけがをする可能性がある危険な乗り物でもある。しっかりとヘルメットを着用して安全に自転車に乗ってもらいたい。

コロナ禍や、健康志向の高まりを受け、利用が増えている自転車。「努力義務だから」ではなく「命を守るため」に着用率アップが急がれる。

(岡山放送)

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