飲食店がやるべきこと、あえてやらないこと

週に2日、木曜日と土曜日限定でオープンする「kitchen and CURRY」。

「kitchen and CURRY」

「and CURRY」阿部由希奈さん:
ここから先の方が飲食店にとって苦しい時期に入っていくと思っているので、できることは全部やっていくが、デリバリーについてはやらない方針でいる。

「and CURRY」阿部由希奈さん

デリバリーはやらない。

新型コロナウイルス感染拡大により、苦境に立たされた飲食店がやるべきこと、あえてやらないこと。人気カレー料理人が考える飲食店の役割を取材した。

日曜日の夕方に行われた、スパイスカレーのオンラインレッスン。

スパイスカレーのオンラインレッスン

人気カレー料理人の阿部由希奈さん:
南インドとかスリランカとかでよく使われているタマネギの切り方です。横に向けて半分に切り、また戻して横からスライスしていきます。

参加者:
トマトが作るときに結構焦げちゃったりするんですけど、こんな感じで大丈夫?

阿部由希奈さん:
ヘラでかいたらそのあと水分出てこないですよね?

参加者:
出てこないです。

阿部由希奈さん:
それで大丈夫です!

参加者の質問に答えながら教えているのは、人気カレー料理人の阿部由希奈さん(35)。この日一緒に作ったのは、キーマと豆の2種類のスパイスカレーだ。

キーマと豆のスパイスカレー

“流しのカレー屋”として活動

阿部さんは、東京・世田谷区にあるキッチンで週に2日、テイクアウトとイートインでの販売を行いながら(7月末まで休業中)全国に出向き、さまざまな材料を駆使しながらスパイスカレーを提供する“流しのカレー屋”として活動している。

華やかな見た目のスパイスカレーが人気で、レシピ本は2万冊発行した。

阿部由希奈さん:
本当は地方に行って、そこの特産品でカレーを作って皆さんに振る舞ったりとか、その場でカレーのレッスンをしたりとかというのをやりたいけど、思うように活動ができないというのは現実としてあります。

新型コロナの影響で、流しのカレー屋としての活動はおろか、店での営業も制限される形に。

テイクアウトを強化するなど、工夫は凝らしているが、今や飲食店が当たり前のように利用しているデリバリーでの販売は考えていないという。

非対面が進む今だからこそコミュニケーションを大切に

阿部由希奈さん:
「私が作ったカレーを私ができるだけ届けたい」という気持ちがあって、カレーが届いたときに、お客さまがどんな表情で、どんなところに喜びを感じておいしいって食べてもらえているか。受け渡しのところのコミュニケーションがすごく自分でも大切にしているところなので、そこにデリバリーだと、違う人が第三者が介入してしまうことによって、そこの思いみたいなものが伝わりづらいかなと思っているので、今はデリバリーは考えていない。

非対面・非接触のサービスが進む今だからこそ、コミュニケーションを大切にしているという阿部さん。オンラインのレッスンでも、ひとりひとりの状況を把握するため、あえて少人数で開催した。

そんな阿部さんは、飲食店の役割について次のように話す。

阿部由希奈さん:
体験としてのカレーを移動せずに、どこまで体験してもらえるかというのは、ここからの課題。自分たちの価値をどういうふうに伝えていけるかというのは、柔軟に考えていかないといけないと思っているので、今できる限りのことをとりあえずやってみるというのが、自分なりの対策なのかなと思っています。

希少なリアル体験を大事に

三田友梨佳キャスター:
とても美味しそうなカレーでした。自分たちが提供している価値をしっかりと理解して、それを崩さないようにしている、そんな印象を受けましたが、石倉さんはいかがですか?

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
リアルでやっているビジネスをどうオンラインにするかという相談をよく受けますが、改めてそれぞれが提供してる価値を見直すことは大事だと思います。お客さまにカレーを直接渡したりするという体験を非常に大事にしているからこそ、デリバリーをやらないと言っていましたが、まさにリアルの場だからこそできる深い体験をすごく大事にされていると感じました。

オンラインの良さは広く集めていくということでもありますが、逆にいうと離脱のしやすさだったり、体験価値を感じてもらいにくいということもあります。今後、コロナ禍の中では、リアルの場で体験をしていく価値は非常に希少性が高まってくると思いますので、そこは大事にしなければいけないポイントでもあると思います。

三田友梨佳キャスター:
オンラインでもコミュニケーションを大切にされていましたよね。

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
そうですね。この店に行きたいとか、この体験をしたいと思っていただく入り口のツールとして、オンラインは非常に有効だと思います。だからこそ、人柄だったりお店のストーリーだったり、そういったことに共感をどれだけ集められるかがテーマになると思いますし、各社がより取り組んでいくべきことかなと思います。

三田友梨佳キャスター:
オンラインとリアルのそれぞれの価値を生み出すことが、飲食店のブランドをさらに進化させるチャンスでもあるということですね。

(「Live News α」7月29日放送分)