秋田・藤里町で、ボクシング教室の開講に向けて奮闘する女性がいる。女性は元プロボクサーだ。結婚を機に移住し、ボクシング教室を開くに至った経緯や目指す教室の姿などを聞いた。

営業職からプロボクサーに転身

黙々とミットに拳を打ち込むのは、藤里町に住む菊地めぐみさん(41)だ。

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パンチを繰り出す動きも堂に入った菊地さん。それもそのはず、菊地さんはプロのリングで戦ってきた元プロボクサーだ。

千葉・野田市出身で、大学卒業後は都内で会社勤めをしていた菊地さんだが、あるきっかけでボクシングと出会った。

菊地めぐみさん:
営業職ですごく忙しくて、本当に運動不足になってしまって、会社の近くにボクシングジムがあって、それがきっかけで通うようになった。通ってみたら楽しくてハマってしまった。当時はプロテストを受けられる年齢のリミットがあって、32歳までに受けないと受けられない。じゃあ受けてみようと

「年齢制限前に」と軽い気持ちで31歳の時に受けたプロテストで見事合格。会社員からボクサーに転身した。

そして、軽量の複数の階級で戦い日本ランキング4位まで上り詰めたが、2022年に競技から引退した。

移住先で「ボクシング教室やりませんか」

引退後は、選手時代に並行して行っていたトレーナーの仕事を続けていたが、夫・康朗さんとの結婚を機に2023年11月、康朗さんが住む藤里町に移住した。

新たな仕事に就き、水彩画や小物作りといった趣味にも精を出す菊地さん。ボクシングからは少し距離を置こうと考えていた。
ところが、町内の施設から声が掛かり、4月からボクシング教室を始めることになった。

菊地めぐみさん:
田舎なので「元プロボクサーのお嫁さんが来た」と結構皆さん知っていて、ボクシング教室やりませんかという話をもらった

3月24日に無料のボクシング体験会を開いたところ、想像以上の反応があった。

菊地めぐみさん:
体を動かすことが好きな人がたくさん集まってくれたのかな、すごく興味のある人が来てくれたという印象。最後にマスボクシングを見せたときも拍手が起こったりして、喜んでもらえたのかなと思う

練習や体験会では、地方競馬の元騎手で、ボクシング経験もある夫・康朗さんもサポートしている。

夫・菊地康朗さん:
教室を開くこと自体は賛成だったが、そもそも藤里町にニーズがあるのかな、参加してくれる人がいるのかなと不安はあった。僕や妻よりも先輩の年齢の人が来てくれて、意外と皆さんやる気あるなと、逆にパワーをもらった

ちなみに、康朗さんにめぐみさんの素顔について聞いてみると、「負けず嫌い。練習で僕がラッキーパンチを当てると、ムッと顔に出る。やり返してやろうって雰囲気が伝わってくる。元プロだけあって、負けず嫌いなところはある」と教えてくれた。

すると、めぐみさんは「昔から負けず嫌いだけど、でも、もっといいこと言ってくれると思ったんだけど」と苦笑いを浮かべていた。

「けがなく、楽しくやってもらえたら」

現在は、教室でどんなメニューを体験してもらうか準備に大忙し。目指すは、誰でも楽しめるやさしいボクシング教室だ。

菊地めぐみさん:
年配の人が多いので、けがなく楽しくやってもらえたらいいと思っていて、危険なスパーリングとかはやらず、ミット打ちとか簡単なマスボクシングとか、そういうことを楽しく汗を流してやってもらえれば、それが一番かなと思う

菊地さんのボクシング教室は、毎月2回、町内の「ゆとりあ藤里」で行われる予定だ。運動不足を楽しく解消したいという人は、足を運んでみてはいかがだろうか。

(秋田テレビ)

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