大阪の私立の進学校・清風高校で3年前、当時2年生の男子生徒が試験でカンニングをした後に自殺したのは、行き過ぎた指導が原因として、遺族が学校側に損害賠償を求める裁判を起こした。
訴えによると、清風高校の2年生だった男子生徒は2021年、期末試験でカンニングをした2日後に自殺した。
【動画】「どうして自死を選ばないといけなかったのか」生徒の遺族が大阪・清風高校を「行き過ぎた指導」と提訴
■「カンニングは卑怯(ひきょう)者」自殺の引き金になったか
遺書に「死ぬ恐怖より、卑怯者と思われながら生きていく方が怖い」
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清風高校では日ごろから訓示などで「カンニングは卑怯(ひきょう)者のすること」と指導されていて、男子生徒はカンニングが見つかった後、数人の教師から約4時間にわたって事情を聴かれ、叱責を受ける中で、「カンニングがなぜ悪いことか」と問いかけられ、「ずるいことをした」と回答した。
これに対して、教師のうちの一人から、それにとどまらない卑怯なことであり、卑怯者がやることだと言われ、男子生徒は自身について「卑怯者です」と発言した。
遺書にも「死ぬという恐怖よりも、このまま周りから卑怯者と思われながら生きていく方が怖くなってきました」と書かれていた。
■1巻につき約1時間かかる80巻分の写経
男子生徒にはこのほか、8日間の謹慎中に、1巻につき1時間程度かかる写経を80巻分などの処分が課されていて、両親はこうした行き過ぎた指導が自殺につながったとして、学校側に対して、合わせて1億円あまりの損害賠償を求め、8日大阪地方裁判所に提訴した。
■両親「わからないことばかり…二度と起きない社会に」と訴え
両親側は「息子がどうして自死を選ばないといけなかったのか、学校側に責任はないのだろうか、悲しみの中で考えていてもわからないことばかりです。亡くなった後に、学園側の真摯な対応がなかったことも残念です。学校での指導死はあってはならないことです。二度と息子のようなことが起きない社会にするためにはどうしたらいいか考えていきたいと思い、裁判を起こしました」とコメントしている。
学校側は「現時点では訴状が届いていないので、コメントは差し控えます」と話している。