新年度が始まり、進学や就職などで、宮城に初めて来た方も多いのでは?
宮城へ来たら、ぜひ覚えてほしいのが「仙台弁」。
宮城県内で暮らす人にも宮城県外で暮らす人にも知ってほしい、「仙台弁」の成り立ちと魅力を伝える。

世代間ギャップも…無意識に使う仙台弁

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まずは、仙台の街で普段使う仙台弁を調査。 
若い世代からは、無意識に使っているという「だから~(同意の意味)」や、言い換える言葉が標準語ではなかなか見つからない「いずい(違和感があって居心地が悪いようす)」などが挙げられた。
70代の祖母と10代の孫は「ねっぱす(貼り付けする)」が通じず、会話が成り立たなかったことがあると話した。

ゆったりとは話せない?日常会話に溶け込む仙台弁

「お茶っ子会」を楽しむメンバー
「お茶っ子会」を楽しむメンバー

都市部では共通語に押されているが、沿岸部などでは今も仙台弁が生活に溶け込んでいる。
宮城県石巻市にある牡鹿半島の住民が、月に2回開いている「お茶っ子会」。
この日は80代から90代の12人が、カラオケや食事を楽しんでいた。
皆さんがよく使う「仙台弁」を聞いてみると…
「『こんにちは』って言えばいいんだけれども、『こんぬづわ』って」
「『こっちゃこ~』って言うの。『こっちへ来い』なんてゆったりとしたこと言えない」
というように、日常の言葉がなまったり、短くなったりするようだ。

ルーツは奈良時代?実は雅な仙台弁

宮城県全域で話される方言で、江戸時代後期には現在の形になったという「仙台弁」。
そのルーツは奈良時代や平安時代に都で使われていた言葉だという説がある。
方言学が専門の東北大学の小林隆名誉教授によると、全国の中心となる地域の言葉が地方に広まるにつれて、方言になっていくそうだ。
たとえば、仙台をはじめ東北全域で使われる『めんこい(かわいい)』という言い方は、万葉集に『めぐし』という言葉が出てくる。どうやら『めぐし』が『めぐい』になって『めごい』になって『めんこい』になったという。

他にも、「違和感がある」などの意味で使われる「いずい」は、室町時代に使われていた「恐ろしい」を意味する「えずし」が元になっているという。
また、語尾につける「~け」や「~べ」は、「けり」や「べし」が変化したものだそう。
古くから使われている由緒正しい言葉がルーツだと思うと、急に方言が雅に感じられないだろうか。

方言を専門に研究している 東北大学・小林隆名誉教授
方言を専門に研究している 東北大学・小林隆名誉教授

「千年前の言葉を今の仙台人が使っているという。仙台方言は言ってみれば無形文化財とか文化遺産。そして、それをしゃべっているお年寄りは人間国宝と私は考えている。」
東北大学・小林隆名誉教授

ゆるキャラも流ちょうに話す仙台弁

「いぎなし(とても)」なまっているゆるキャラ 仙台弁こけし
「いぎなし(とても)」なまっているゆるキャラ 仙台弁こけし

歴史ある雅な言葉、仙台弁。仙台には流ちょうな仙台弁を話すキャラクターもいる。
「仙台弁こけし」は、2014年に誕生した「いぎなし(とても)」なまっている宮城のご当地キャラクターだ。方言の魅力を伝えようと、本やかるたなど、さまざまなグッズも出している「仙台弁こけし」に、新生活におすすめの仙台弁を教えてもらう。

「やっぱり新しい生活って、何事も丁寧にやりたいでしょ?それにぴったりの言葉は『までに(丁寧に)』じゃねがな~。
までにあいさつして、までに朝ごはん作って、までに仕事して、までにいくすぺ!(丁寧にいこう!)」
(仙台弁こけし)

わからない言葉は聞いてみて…あたたかい仙台弁

どこかあたたかい響きのある仙台弁。宮城県の人とより仲良くなる手段として、活用してみてはいかが?

「仙台弁は心がほっこりする、素朴であたたかい方言なんだっちゃね。方言の意味がわからないときは、それってどういう意味なのって是非聞いてみてほしいよね。そうすっとお互いの距離がね、ぐっと近くに感じることができると思うっちゃ!」
(仙台弁こけし)

(仙台放送)

仙台放送
仙台放送

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