群馬県高崎市で2024年4月6日、小学生で9歳の女の子が、踏切で列車にはねられ亡くなった。現場の踏切は遮断機も警報機もない「第4種踏切」で東海3県にも約200あるが、廃止するには高いコストがかかるなど壁がある。
JR西日本では、費用や設置時間を削減できる「踏切ゲート‐Lite」を2023年10月から中国地方で導入していて、事故を防ぐことができているという。
「第4種踏切」は東海3県に199カ所ある。まず大手の3社では、JRが全体で1115カ所ある踏切のうち55カ所だ。名鉄と近鉄にはない。
いわゆるローカル鉄道では、岐阜県の長良川鉄道が137カ所中29カ所などとなっている。明知鉄道では50カ所中25カ所と半数が第4種踏切だ。JRに比べると割合がとても高くなっている。
列車の本数が少なく、踏切の利用者が少ない地域にこの踏切は多くあり、対策が進まない背景には「2つの壁」がある。
1つ目は「費用面の壁」だ。
長良川鉄道によると警報器や遮断器を設置すると、1カ所あたり少なくとも1千万円以上かかるということで、資金繰りが厳しい地方の鉄道会社にとって簡単ではない。
2つ目の壁は、踏切そのものを廃止しようとしても「住民との合意に至りづらい」という点だ。
長良川鉄道では、第4種踏切の廃止や統合を進めているが、利便性を求める住民と折り合いがつかないこともあるということだ。
しかし、第4種踏切が抱える問題を解消すると期待されている新たな取り組みもある。
島根県雲南市を走るJR木次(きすき)線では、遮断器も警報器もない「第4種踏切」に3月、山陰地方で初めてゲートが設置された。「踏切ゲート‐Lite」というもので、手動の遮断機だ。
踏切に入る際は強化プラスチックでできたバーを持ち上げ、出る際は前に押すか、持ち上げるとバーが自動的に元に戻る仕組みだ。
導入したJR西日本によると、2023年10月から中国地方の22カ所に設置していて「導入後、踏切事故は起きていない」ということだ。
この踏切用のバーは、費用が警報機と遮断機のある第1種に比べ10分の1ほどで、設置工事も2時間ほどでできるという。
(東海テレビ)