地域で愛されてきたボウリング場が老朽化のため52年にわたる営業を終えた。ブーム最盛期には8時間待ちの客もいたという。最終日には常連客が最後の投球を楽しみ、ボールがピンを弾く音が寂しく響き渡った。
1971年オープン…施設は老朽化
この記事の画像(11枚)佐賀・唐津市で唯一のボウリング場、「ファズボウリングセンター」。1971年にオープンし、長年にわたって地元の住民に愛されてきたボウリング場だ。
ボウリングブーム最盛期には大勢の客で賑わい、52年間にわたって営業を続けてきた。しかし、施設の老朽化で、2024年3月末に営業を終えることになった。
満島壮一郎 社長:
本当に残念ではありますが、令和6年3月31日をもってファズボウリングセンターの営業を終了させていただくことになりました
「毎年のように雨漏りするし、機械も非常に古くなってボウリングの機械も大変トラブルが多くなっていた。客を安全に場内に案内できるのがなかなか難しくなってきた」と、満島壮一郎社長は営業に終止符を打たざるを得ない事情を語った。
常連客が“最後の投球”
営業最終日の3月31日。
多くの常連客やボウリングファンが訪れ、“最後の投球”を楽しんだ。
28のレーンが備えられたボウリング場。レジャーの場としてはもちろん、多くの大会も開かれてきた。
常連客・男性:
寂しい…誰かどこかにボウリング場を作ってくれたらいいんだけど
常連客・女性:
クラウドファンディングでボウリング場、もう1回作ってほしい
自宅から5~10分のところに住んでいるという男性は、「自宅からすぐ来てボウリングできていたが、これから他の市町に行って投げないといけないので寂しくなる」と名残惜しそうに語る。過去にこのボウリング場でパーフェクトを達成したという熱烈なファンのひとりだ。
1970年代には“8時間待ち”も
営業終了を惜しむのは、常連客だけではない。ボウリング場を支えてきた従業員も、最終日を迎え寂しそうな面持ちだ。
支配人:
店の立ち上げから一緒に先代の社長とやりました。業界の浮き沈みとか、いろんな経験をして頑張りました。みなさんの支援で今まで営業できたことを非常に感謝しています
1970年代のボウリングブームのときには、“8時間待ち”になったこともあったという。以前と比べると客は減ったが、いまも年間5万人ほどが訪れ、ボウリングを楽しんでいた。
娯楽施設も充実
常連客:
小さい子どものころから使わせていただいていた。ボウリングもですけれど、ゲームセンターもあったので使っていた。楽しむ場が無くなってしまうのが悲しいです
ボウリングだけでなく、ビリヤードや卓球台、ゲームセンターなどもあり、娯楽施設としても人気の高い場所だった。
年季の入った“ピン”を持ち帰り
唐津市内だけでなく、遠方からの常連客も多い。
最終日には、ボウリングのピンを持ち帰る常連客の姿もあった。
小城市からの常連客:
(ピンを持ち帰ることができて)めっちゃうれしい。(きょうが最後で)めっちゃ悲しいです。1時間かけてここまで通っていたのに
「52年間ありがとう」
満島壮一郎社長:
本日をもって閉館しますが、みなさまがこれからも笑顔で健康的な毎日を過ごしていけるよう心からお祈りします。52年間という本当に長い間、今まで支えていただいて本当にありがとうございました
年季の入ったピン。それを回収する機械。この日、長い役目を終える。
ボールがピンを弾く音が響き渡る中、地域に愛されてきたボウリング場が52年の歴史に幕を下ろした。
(サガテレビ)