長く男子校としての歴史を刻んできた鹿児島市の鹿児島商業高校が、2024年度から共学化されることになった。創立130年で迎えた大きな転換点。新学期のスタートを前に、校内にさまざまな変化が見られた。
商業高校唯一の男子校に変化が
鹿児島市郊外の高台、西坂元町にある鹿児島商業高校の昼休み。にぎわう学食をのぞくと、山盛りのどんぶり飯に唐揚げをほおばる生徒に、大盛りカレーライスと大盛りうどんを付け合わせる生徒が。男子校ならではの光景だ。
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この日行われていたのはクラスマッチ。体育館ではバレーボールの熱戦を展開中。3年前から「eスポーツ」も導入され、教室に男子生徒の、野太くもにぎやかな声が響いていた。
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1894年に創立した鹿児島市立の鹿児島商業高校は、公立の商業高校としては全国で唯一の男子校。鹿児島テレビに50年前の鹿児島商業体育祭の映像が残っていた。映っていたのは逆立ち歩きの競争だろうか?男子校の力強さを感じさせる映像だ。
情報化社会の進行にともない、1990年には最新型のコンピューター導入式があり、情報処理教育も展開された。
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「鹿商(かしょう)」と呼ばれ、夏の甲子園ベスト4入りの野球部に、春高バレー全国準優勝のバレーボール部、それに相撲部など、鹿児島県内有数のスポーツ校としても知られる鹿児島商業。これまでに送り出した生徒の数は3万8000人。そんな鹿商がこの春、男女共学化という新たな一歩を踏み出す。
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ここ10年、鹿児島商業の受験倍率はほとんどの年で定員割れとなっていた。学校の活性化を図り、より多くの生徒に時代に即した学びの場を提供しようと、創立130周年を迎える2024年、共学化にかじを切った。堀之内尚郎校長は「今の時代は男子、女子というくくりではなく、すべての生徒の皆さんに、この特色ある教育活動をぜひ受けていただきたい」と話す。
![3つの学科を再編](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/f/1/700mw/img_f1df9d43bb5af5755c39a3bd47f65aef86179.jpg)
共学化にともない、これまでの商業科・情報処理科・国際経済科の3つの商業系の学科を、「ビジネスクリエイト科」「情報イノベーション科」に再編。それぞれ、経営者や起業家の視点で創造できる資質を育み、より高度なプログラミング学習や知識や技術を習得できるカリキュラムを目指している。
さらに、アスリートスポーツ科を新設。全国大会で活躍するトップアスリートを育成するなど、スポーツが強い鹿商の強みを伸ばす狙いだ。
共学化で校内にも変化が
3月13日の合格発表。掲示板の前には女子生徒の姿もあった。
![合格者の3割が女子生徒](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/7/700mw/img_074752b3219c88d0f4ad8c69c2f9ee2f61250.jpg)
共学化や学科新設の結果、2024年はすべての学科で受験倍率が1倍を超え、280人が新年度から鹿商生として加わる。合格者の3割が女子生徒だ。
合格発表の翌日、新入生を対象に開かれた説明会。中内彰教諭は「皆さんがこの鹿商で『よし頑張るぞ!』との思いを3年間持ち続けて頑張っていただければ、3年後、素晴らしい結果が待っていると思います」と新入生を歓迎した。
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新入生からは、鹿商での学びに期待する声が多く聞かれた。
ビジネスクリエイト科に入学する新入生:
ビジネスマナーとビジネスに必要な知識や技術を学ぼうと思っています。父が会社を経営していて、興味があって。海外で起業したいと思っています
ほかにも、同じビジネスクリエイト科に合格した新入生は、「商業科目を将来につながるような学習ができるところに興味を持った」、「2年生から科目を選択できて、将来に役立てるなと思ったので選びました」と口々に語った。
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校内では、女子生徒の受け入れに向けた準備も着々と進んでいる。2023年7月には男性用だったトイレが、木目調のやさしい雰囲気の女性用トイレに改装されていた。
これまであまり使われていなかった部屋は、女性専用の更衣室となった。
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さらに学食にも変化が。4月から登場するのが、ワンプレートに野菜や唐揚げなどがのったオムライスや、ロコモコ丼など、女子生徒の目線を意識したメニュー。購買部で販売されるパンも、総菜パンに加え、クリームパンやクロワッサンなどの菓子パンを増やすという。
在校生も「先輩らしくサポート」
在校生も新年度に向け、女子生徒を迎える心の準備ができつつあるようだ。
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在校生:
ずっと男子校だったので、女子の存在を忘れていたわけですから、すごくドキドキして、楽しみですね。すぐ4月になってほしい
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在校生:
女子がいない分、パンツ一丁で走り回ったりできたので楽しかった面もあれば、男子しかいなかったんで、臭いがきつかったりする面もあったけど、いろいろと楽しかったです
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在校生:
女の子が入ってくるというのは非常にうれしいことですし、だけど(女子)1期生ということで、過ごしにくいところもあると思うので、それは先輩らしく、いっぱいサポートしていければいいかなと思います
堀之内尚郎校長は、「男女に関わらず、入学生にとっては中学生活から高校生活と大きな変化がある。ワクワク感をもって、楽しい高校生活が送れるようにサポートしていきたい」と話す。
時代のニーズに応じて変化の道を選んだ伝統校、鹿児島商業。2024年、校内に新しい風景が広がる。
(鹿児島テレビ)