児童手当の拡充や育休給付の引き上げなどを柱とし、財源として公的医療保険に上乗せして1人あたり平均月450円を徴収する「子ども・子育て支援金」制度の創設を盛り込んだ少子化対策関連法案が2日、衆院本会議で審議入りした。

質疑の中で立憲民主党の岡本章子議員は法案について「子ども子育て施策が前に進む内容については評価するが、財源については裏金のごまかしと同様、様々なごまかしがあり到底納得できるものではない」と指摘し、「国民に負担増となるのに『税ではない健康保険料だ』『実質負担なし』と繰り返し負担が少ないかのように見せる、総理のごまかしの姿勢だ」と批判した。

岡本氏はさらに「すべての保険料負担者が自分のおよその負担額が分かるように、それぞれの保険の種類ごとにおおよその所得階層別の負担金額を示してください」と迫り、平均で月850円とされた健保組合の被保険者の負担額について、企業などの負担分との合算額1700円という数字も明示すべきではないかと質した。

これに対し岸田首相は「ご指摘の通り、健保組合の被保険者1人当たりの支援金額は850円程度であり、労使折半で拠出する。しかし、重要な部分は本人拠出額であり、事業主が拠出する分と足し合わせて金額をあげつらうことは適当ではないと考えている」と答弁し、野党席から激しいヤジが飛んだ。

その上で岸田首相は、国民それぞれの負担金額について「子ども家庭庁の試算では、現行の医療保険料額の4~5%程度となることを示している。これによって国民1人1人の拠出のイメージを持っていただける」と述べた。

岡本議員が支援金について「現役負担がより重い制度であり、被保険者・事業主ともに増税そのものではないか」と追及したのに対し、岸田首相は「支援金は歳出改革による保険料負担の軽減効果の範囲内で構築することを基本とすることで、実質的な負担が生じないものだ。事業主や高齢者を含む全世代から広く拠出していただき、公費と合わせて子育て世帯への大きな給付拡充に充てるものであることも踏まえれば、現役世代の負担がより重いとの指摘は当たらない」と反論した。

さらに岡本議員は、今回の子育て支援金は本来、健康保険料ではなく税で賄うべき支出ではないかと疑問を呈し「健康保険など社会保険を拡大解釈して、お金を徴収しやすいところから取るという発想はやめてください」と批判した。

これに対し岸田首相は「支援金制度については、少子化・人口減少に歯止めをかけることにより医療保険制度の持続可能性を高めその存立基盤に重要な受益ともなるものであり、保険料の目的外使用等の指摘は当たらない」と説明した。

その上で「支援金制度については社会保障負担率という具体的なメルクマールを設け、支援金の導入によっても社会保障負担率は上がらないということを国民に新たな負担を求めないことの証としてお約束したいと考えている」と強調し、

支援金を給与明細に記載するかついて、岸田首相は、事業主の判断に委られるものだとした上で、「危機的な状況にある少子化の中、子ども子育て世帯を支援するために支援金を拠出いただくという趣旨を被保険者に知っていただくことは重要であると考える。こうした観点から、給与明細書等において支援金額を表示する取り組みが広がっていくよう、必要な取り組み進めていく」と述べた。