国民や企業の所得に対して、税金や社会保険料の支払い負担を示す「国民負担率」
昨年度の2022年度は、負担率が47.5%と、国民所得のほぼ半分を占めています。

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40代会社員:
取り過ぎですよね…もう怒りですよ。何で半分も取るんだって感じですよ

異次元の少子化対策に対して、岸田首相は10月30日に、「負担が増えるようなことがない制度を構築したい」と話しましたが、この説明に街の人は懐疑的です。

50代会社員:
嫌ですね、何とか税金減らす様にしてほしいですよね。給与の天引きも多いですし。(経済面も)どんどん下がってくるんじゃないですか?国際的地位とかも。

年々、上昇傾向にある日本の国民負担率。海外と比べてその水準は?私たちの暮らしは今後どうなってしまうのでしょうか?

10年で約8%増加 原因は消費増税か?

第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣氏によると、「国民負担率」は、直近の10年で8%近く増加したといいます。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏
第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏

永濱利廣 氏:
日本は直近10年間で実に8%近く国民の負担が上がっているんですね。海外はどうかというと、日本以外のG8諸国は平均で2%くらいしか上がっていないわけで、これだけ負担率が高くなると、当然経済の足を引っ張るわけですから、日本の経済がずっと良くないのは当然の状況だと思います。

――上がった要因とは?
最大の要因は、消費増税です。2回上げていますから。

財務省作成の国民負担率の国際比較(OECD加盟36カ国2020年度)を見てみると、日本は36カ国中22位とそこまで高い順位ではありません。

しかし、一見負担率が高いように見える、2位のフランス(69.9%)は、代わりに「子育て支援策」が手厚く、妊娠後から産後のリハビリを含む費用の全面無料化や、不妊治療を公費で実施・43歳未満は無料、子どもを3人養育した親は年金受給額が10%増える「年金加算制度」など、様々な支援策が行われているのです。

経営コンサルタント 唐木明子 氏:
フランスは、子供を3人産んで欲しいということを目標にしながら、少子化対策をしていって、完全に成功はしていないんですけれども、すごく優れた例だと言われているです。そういう意味では、目的をきちんと定めて、そこにちゃんとした制度と投資をしていくというのは、大切なことだと思います。
国の政策と、何のためにお金を使うのかという所をよくよく議論していくと、フランスのように納得感のある制度が出てくるのかもしれませんね。

上がる負担と下がる出生率

財務相と厚労省のデータを元に、国民負担率と出生率を比較してみると、国民負担率は増加し続け、出生率は減少し続けていることが分かります。

出生率が減れば、現役世代も徐々に減少し、負担が増えていく。負担が増えれば、生活が厳しくなり出生率が下がるというまさに負のスパイラルに陥る中、必要なのは「所得を上げる策」、つまり賃上げです。

15日の政労使会議で岸田首相は、「来年の春闘に向け、今年を上回る水準の賃上げのご協力をお願いします」と発言、2022年の平均賃上げ3.58%を上回る賃上げを呼びかけました。

永濱利廣 氏:
政府が、まず先にすべきことは「景気を良くすること」だと思います。
景気が本格的に良くなる前に、増税とか負担増は慎むべきだと思うんです。増税とかしなくても、分母のGDPが増えれば、負担率は上がらなくても、税収や社会保険料は増えるわけですから、景気を良くしてから国民負担率を上げていくという準備が必要だと思います。
(めざまし8 11月17日放送)