イオンは、プライベートブランド「トップバリュ」に特化した小型スーパー「まいばすけっと」の実験店舗を横浜市にオープン。「トップバリュ」商品の構成比を既存店舗の2倍以上となる50%まで引き上げる。専門家は、プライベートブランド強化は、顧客満足度向上に貢献する可能性を秘めていると期待する。

「トップバリュ」特化した新規店

物価高が続く中、お手頃価格が売りのプライベートブランドに特化したスーパーがオープンする。

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イオンが横浜市に29日、実験店舗としてオープンするのは、プライベートブランド「トップバリュ」に特化した小型スーパー「まいばすけっと」。

トップバリュの商品の構成比を、既存店舗の2倍以上となる50%まで引き上げることで、利用客のニーズを検証するという。

まいばすけっと・岩下欽哉社長:
お客様からの声を集め、その声をもとに、トップバリュ社と一緒に小型のスーパーをご利用されるお客さまのニーズにマッチした商品開発につなげていきたい。

実験店舗の検証を踏まえて、今後、他の「まいばすけっと」での「トップバリュ」構成比の引き上げを検討するとしている。

強みいかせる商圏・出店戦略にも

「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
今回の試み、どうご覧になりますか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
新店舗がある横浜市の仲町台は、ファミリー層を目当てに、駅構内にファミリーマート、駅前にはセブン-イレブン、東急ストア、業務スーパーなどがあり、小売りのプチ激戦地となっている。

ここでの勝ち残りポイントは、会社帰りに短時間で買い物が済む品揃えと、価格の安さ。

こうした「タイパ」と「コスパ」の提供こそ、コンビニより価格が安い、食品ミニスーパーである「まいばすけっと」の強みがいかせる商圏となっている。

堤キャスター:
プライベートブランドを中心にした品揃えには、どういった狙いがあるのでしょうか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
実は仲町台には「まいばすけっと」が2店舗ある。駅北口にある店舗は、これまで通りであるのに対して、29日リニューアルオープンする、駅南口にある店舗は、「トップバリュ」の品揃えを強化した店舗となる。

どちらの店舗が支持されるか、利益を取れるのか。今後の出店戦略にも影響を与えるのではないか。

心のパフォーマンス・満足度を表す「ココパ」

堤キャスター:
新店舗への期待は、大きいようですね。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
今回の試みでは、イオン自慢の「トップバリュ」を通して、消費者の支持が強い「コスパ」と「タイパ」に加えて、心のパフォーマンス・満足度を表す「ココパ」の提供を目指すという。

例えば、専用冷蔵庫で売る「クラフテルバーリッシュ」は、日常の様々なシーンの「雰囲気」などをフレーバーに落とし込んだ「シチュエーションドリンク」となっている。

さらに冷凍食品の多彩な品揃えなどは、忙しい共働き世帯の隠れたニーズを探る狙いもあるように思う。

堤キャスター:
小売業界では、これまでにない試みも増えていきそうですね。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
小売大手は取引先とウィンウィンの関係を築きながら、顧客の買いやすい価格の提供を行ってきたが、物流費や非正規の人件費が上がっていくため、メーカー品はもちろん、PB商品といえど、価格転嫁が進み、商品価格が上がっていくはず。

ここからが本当の知恵の絞り合い。イオンのトップバリュには、新しい成長を見せてくれることを期待したい。

堤キャスター:
スーパーやコンビニは、その地域に寄り添うように便利で、楽しい買い物が出来る場所であって欲しいですし、時代とともに、お店のあり方も変わってゆくのかもしれませんね。
(「Live News α」3月28日放送分より)

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