150万円以上献金なら3人と記念撮影も
3月28日、アメリカ・ニューヨークのマンハッタンで3人の大統領を招いた盛大なイベントが開催される。3人の大統領とは、現職のバイデン大統領(81)、オバマ元大統領(62)、クリントン元大統領(77)で、11月の大統領選で再選を目指すバイデン氏を後押しする。
民主党の3人の大統領がそろった初の資金調達イベントとなり、民主党関係者からは「トランプ氏には出来ない、史上最大のイベントになる」との声もあがる。
この記事の画像(5枚)会場は、マンハッタンのど真ん中にあり、コンサートやコメディーショーなどが行われるラジオシティ・ミュージックホールで、少なくとも3000人の大口の献金者が集まるとされている。
チケットは1枚250ドルから販売されていて、10万ドル(約1500万円)以上の献金者は、3人の大統領と一緒に記念撮影も出来る。さらに50万ドル(約7500万円)以上の献金者は、2日連続で開催されるレセプションに参加することが出来る。
1期目の就任3年目を終えたバイデン大統領の平均支持率は39.8%と2期目を目指した歴代大統領の中でも低空飛行が続く。それぞれ過去に再選を果たした“先輩大統領”の人気にあやかりたいバイデン氏の思いも透けてみえる。
実際にバイデン氏は、このイベントに先立ち、3月23日にもオバマ氏やナンシー・ペロシ元下院議長を自らのオンラインイベントに呼ぶなどしていて、支持回復に躍起だ。
資金集めは“極めて順調”のバイデン氏
ただ、低迷する人気とは裏腹に、バイデン氏の選挙資金集めは順調だ。バイデン氏の選挙対策本部によると3月7日に行われた一般教書演説では、演説終了後の24時間で1000万ドル(約15億円)の選挙資金を調達し、一日での資金集めとしては自己最高の記録を更新した。
一方、資金集めに苦労しているとされるのがライバルの共和党・トランプ前大統領だ。
トランプ氏は、女性作家への名誉毀損や一族企業の不正を巡り裁判所から控訴に必要な保証金、計2億5800万ドル(約400億円)の支払いが命じられている。さらに、ホワイトハウスからの機密文書の持ち出しなど4つの刑事事件の初公判が4月から順次始まる見通しで、弁護士費用など訴訟費用が今後も増えることが予想される。
現地メディアによると、トランプ氏はこの3年間で弁護士費用などに1億ドル(約15億円)を費やしてきたとされている。
また、3月20日に公開された選挙資金報告書によると、バイデン氏の陣営が2月に集めた選挙資金は5300万ドル以上で、3月の手元資金は合計1億5500万ドルだった。
これに対し、トランプ氏の陣営は2月に1090万ドルを集め、手元資金は約4200万ドルとバイデン氏に大きく水をあけられている。
一方で3月26日には、トランプ前大統領が立ち上げたSNS、トゥルース・ソーシャルを運営する企業がナスダック市場に上場を果たし、株価は取引開始直後、50%以上急騰するなど人気を見せたが、その株価は「実態とかけ離れている」などの専門家の見方もある。
バイデン氏は、トランプ氏に勝利した前回の選挙で、大統領候補者として史上初めて10億ドルを超える資金を集めた。一方、トランプ氏の調達資金は7億7400万ドルだった。
トランプ氏は、前回の大統領選の終盤で資金難に直面し、重要州で予定していた広告費の削減を余儀なくされている。大接戦が予想される今年の大統領選では、資金力も勝敗の明暗を分ける大きな要素となるだろう。
(FNNワシントン支局 千田淳一)