アメリカ東部メリーランド州の最大都市・ボルティモアで大型貨物船が橋に衝突し、橋が崩落した事故。アメリカ最大級の海運拠点にかかった“巨大な橋”は、まさしく一瞬のうちに崩れ落ちた。その瞬間をカメラが捉えていた。

カメラが捉えた橋崩落の瞬間

現地時間3月26日午前1時半ごろ、大型の貨物船が橋へと近づいていた。

崩落する橋
崩落する橋
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水しぶきが上がり、船が橋脚に突っ込んだ次の瞬間、船の衝突からわずか10秒ほどで橋が崩壊した。

大型貨物船の上には崩落した橋が…
大型貨物船の上には崩落した橋が…

事故から一夜が明けた現場では、大型の貨物船が崩落した橋に行く手をふさがれるように止まっていた。

この事故で、建設作業員8人が川に転落。そのうち2人が救助され、6人が行方不明となった。現地当局はこの6人が死亡したと判断し、救助活動を中止すると発表した。

衝突直前に電源喪失

崩落したフランシス・スコット・キー橋は、1977年に開通。全長約2.5kmで、首都ワシントンやニューヨークに物資を運ぶ多くの貨物船が橋の下を通過する。なぜ事故は起きたのか。

貨物船は衝突直前に電源を喪失したという
貨物船は衝突直前に電源を喪失したという

貨物船は26日未明午前1時頃、スリランカに向けボルティモア港を出た。しかし、衝突の直前に電源を喪失し、突然コントロールを失ってしまったという。

橋に激突したのは午前1時半頃。出港からわずか30分ほどのことだった。船は事故直前、いかりを降ろしていたという情報もある。

神戸大学・海洋政策部の若林伸和教授は、船の運行において、“停電”はまさに非常事態だと指摘する。若林教授によると、「電気がなくなると、船はほとんどのことができなくなる。行きたい方向に行けなくなることが最初に考えられる」という。

事故直後に橋を通行止め…日本での対応は?

アメリカに衝撃を与えた今回の衝突・崩落事故だが、バイデン大統領は、事故の直前に貨物船から地元当局に通報があり、それを受けて橋を通行止めにしたことで被害の拡大が食い止められたことを明らかにした。仮に日本で同じような事態が起きた場合、すぐに橋を通行止めにすることはできるのだろうか。

若林教授は、「日本では港湾管理の体制が非常に複雑になっている。日本では(指示できる)対応がすぐにとれるかは検証する必要がある」と指摘している。
(「イット!」3月27日放送より)

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