天皇皇后両陛下の長女・愛子さまは3月20日、学習院大学の卒業式を迎えられた。コロナ禍の制約のもと、入学式も行われずスタートした大学生活。“原稿なし”が話題になった成年皇族としての会見。初めての一般参賀、4年生でようやく可能になったキャンパスライフ…学びや皇族としての活動に取り組まれた4年間を振り返る。
1年生 コロナ禍の入学
2020年、愛子さまは学習院大学文学部日本語日本文学科に入学された。
この記事の画像(65枚)コロナ禍で入学式も行われず、授業は全てオンラインで行われ、初めて登校されたのは入学から半年後の10月、新入生オリエンテーションだった。愛子さまは、「半年遅れではありますが、キャンパスを実際に訪れ、先生方や学生の皆さんにお会いできることをうれしく思います」と述べ、「新しい知識を得た時に感じられる喜びを大切にしながらさまざまなことに取り組んでいければ」と大学生活への期待を寄せられた。
2年生 成年皇族として原稿見ず30分会見
2021年、大学2年生となってもオンライン授業が続いた。「日本語日本文学系」を専攻し、源氏物語などの古典文学やくずし字などの講義を受け、9月には赤坂御用地から皇居に引っ越された。
陛下が長年続けられているジョギングに皇后さまと自転車で併走したり、ご一家でテニスを楽しんだりとご家族の時間を大切にしながら、20歳の誕生日に向けて、成年行事や皇室行事で用いられる宮殿の部屋をご一家で訪れ、行事の詳細や所作について両陛下から説明を受けるなど、成年皇族となる準備を進められた。
2021年12月、愛子さまは20歳の誕生日を迎えられた。最上級の正装であるローブ・デコルテにティアラ、陛下から贈られた勲章を着用し、宮殿で行われた祝賀行事に臨まれた。
2022年3月には、成年皇族として、初めの記者会見に。
「二十歳という節目を無事に迎えることができましたことを嬉しく思っております」「これまでのあらゆる経験は、多くの方の支えや御協力があってこそ成し得たものであると身をもって感じております。これまで様々な形で支えていただき、成年を温かく祝福してくださった皆様に、心より感謝をお伝えしたいと思います」と感謝の言葉を述べられた。
さらに、「長所は、自分ではなかなか気付きにくいものでございますけれども、事前にこの御質問を頂いたのでじっくりと考えてみまして、強いて申し上げるなら、『どこでも寝られるところ』でしょうか。以前,栃木県にある那須の御用邸に行き、その着いた晩に、縁側にあるソファーで寝てしまい、そのまま翌朝を迎えた、なんてこともございました」などと、ユーモアを交えて話される場面もあった。さらに、「一つ一つのお務めを大切にしながら、少しでも両陛下や他の皇族方のお力になれますよう、私のできる限り、精一杯務めさせていただきたい」と抱負も語られた。
また、両陛下に贈りたい言葉を問われると、皇后さまが愛子さまの誕生時に涙を浮かべながら語られた「本当に生まれてきてありがとう」というフレーズにかけ、「私も『生んでくれてありがとう』と伝えたいと思います」と感謝の思いを明かされた。
約30分間にわたり、手元の原稿を一切見ることなく、質問に答えられたのが印象的だった。
3年生 初めての一般参賀
2022年、大学3年生になると、両陛下と共に展覧会や演奏会などに足を運ばれる機会も増えた。地域医療をテーマにした映画「Dr. コトー診療所」のチャリティー上映会では、「離島における地域医療の厳しい現状や、島の美しさ、人と人との結びつきの強さ」が深く心に残ったことを、主演の吉岡秀隆さんなどに直接伝えられた。
また、2023年の1月には、初めて一般参賀に参加された。はじめは緊張していたものの、徐々に慣れ、両陛下の傍らでにこやかに手を振られた。
4年生 ようやくキャンパスへ
大学4年生になると、ようやく本格的にキャンパスへの通学が始まり、愛子さまは「大学最後の1年間、この緑豊かなキャンパスで良い学びができましたらと思っております」と笑顔を見せられた。
新たな交友関係を広げながら、日本文学以外にも、福祉など、幅広い講義を履修された。
図書館で資料を集め、平安時代にまつわる展覧会などを通じて学びを深め、12月には中世の和歌をテーマにした卒業論文を提出された。
「少しでも人々や社会のお役に…」
2023年、愛子さまは両陛下とともに日本赤十字社の本社を初めて訪問された。
災害現場などで殉職した看護師などの慰霊碑に花を手向け、関東大震災の救護活動に関する展示を熱心にご覧になった。
かねてから福祉に心を寄せる愛子さまは、日赤について理解を深める経験や、東日本大震災の復興支援のボランティアに携わる友人の存在などがきっかけとなり、日赤での勤務を希望された。その後、嘱託職員としての就職が内定した。
愛子さまは内定に当たり「一社会人としての自覚を持って仕事に励むことで、微力ではございますが少しでも人々や社会のお役に立つことができればと考えております」と感想を寄せられている。
愛子さまは、成年皇族としての活動の幅も徐々に広げられている。
2023年1月には、宮中の新年行事・講書始の儀に初めて参加し、2月には、国際親善の昼食会に初めてご出席。両陛下と共にケニアの大統領夫妻をもてなされた。
幼稚園から18年間通った学習院を離れ、愛子さまは今後、成年皇族として公務に取り組みながら、「社会人」として日赤で勤務される日々が始まる。