男性化粧品の市場規模が拡大する中、資生堂は企業や学校向けにメンズメイクセミナーを開催している。化粧水などスキンケアの他、アイブロウやアイラインなど本格的なメイクのやり方を講師が教え、参加者自身が実践するコースとなっている。このセミナーにアサヒグループの社員が参加し、「明るくなった!」と変化した自分の姿に喜びの声をあげた。
アサヒ社員がメンズメイクに挑戦!
参加したのは、アサヒグループの20代の社員9人。新規事業担当、マーケティング担当、広報担当と職種はバラバラだ。

メイクをする前に、講義が行われたが、そこでざわつく一幕が。資生堂によると、「男性は女性と比べると、肌が弱い」というのだ。
男性は女性と比較して紫外線ダメージを受けやすく、バリア機能が弱いとのこと。外での紫外線のダメージがしわやたるみにつながることが多いのだという。また、女性よりも毛穴が多く、皮脂の分泌量が多いので肌がべたつきやすく、そのままにしておくとくすみなどの老化につながる。こうした事実を知り、一気に参加者の注目も集まった。
そして、いよいよメイク実践。資生堂の講師は、それぞれのメイク工程についてあらかじめ説明を行うものの、実際にメイクを顔に施すのは参加者自身だ。
まずは、化粧水や乳液を顔に塗るスキンケアが行われた。

化粧水などを普段は塗らない参加者もいて、つけ心地に「気持ちいい!」という声があがる。
そして、顔全体のベースを作るBBクリームから本格的なメイクに入った。

くすみなどを隠すコンシーラーを塗る際には、神妙な面持ちだった参加者も、塗りおえると「明るくなった!」とその効果を実感していた。
順調にメイクを進めていた参加者たちだが、この後が大変だった。
アイメイクで苦戦!
出てきたのは、アイラッシュカーラー。

まつげをはさんで上向きにカールさせる美容器具なのだが、まつげをつかむために目元にあてなければいけないので自然と怖がってしまい、「まつげがつかめない」と苦戦する人も。

さらに、目の際に引くアイラインは位置をつかむのが難しかったようで、ほとんどの参加者が基準位置より上の方にひいていた。
とはいえ、参加者は困惑しながらも面白がってメイク体験していて、セミナー中は終始「できている?」と隣の人に確認しあう様子が見られた。

メイク前後の顔の様子を比べると、その差がよく分かるのではないだろうか。メイク後の顔は、血色が良くなり、パーツ1つ1つがはっきりしているように感じられる。
参加者たちは仕上がりに満足した様子で、「やっていくうちに清潔感も出てきて、変わっていく様がすごく楽しかった。ちょっとしたことで印象変わると思ったので、色々試してみたい」「企画提案をする時など、大事な、気合いが必要そうな時にメイクをしてみたいと思った」などの感想があがった。
航空業界や自動車業界から申し込み
資生堂は、今回の「メンズビューティーアップコース【アドバンス編】」を2023年7月から開講している。これまでに15回開催し、約5割が企業からの申し込みとなった。業種は、航空業界、自動車業界、IT業界と様々で、セールス部門が多い傾向となっている。
今回の参加者は20代の若者だったが、もっと上の年代も含め、幅広くこれまでに参加があったという。
アサヒグループとしては、「社員が自分自身の魅力を高めて、自信をもってほしい。世の中のトレンドに敏感であるべきでもあり、業務に活かしてほしい」という思いから、今回このセミナーを申し込んだ。
大手調査会社インテージによれば、男性化粧品の市場規模は、ここ数年右肩あがりで増えている。全体数は、2017年の249億円に比べて2023年は433億円と1.74倍だ。
種類別では、クレンジングや化粧水、美容液などスキンケアを行うための基礎化粧品が最大の金額構成比を誇り、10代から70代のどの年代でも基礎化粧品の購入金額はプラスとなっている。
一方で、アイブロウや口紅、チークなどのメイクアップ化粧品は、種類別で見ると、最も増加幅が大きく、最近は男性が本格的なメイクにも注目し始めたことがうかがえる。
インテージの木地利光アナリストは「オンライン会議で自分の顔をみる機会が増え、美容意識が高まったり、コロナ前に通勤や飲み会にかけていた時間やお金を美容にかけられるようになったため、男性化粧品市場が伸びている」と分析している。
今後についても「男性化粧品の市場は急成長しているが、女性化粧品と比べると規模が限られるため、成長の余地があると言える。コロナ禍に男性化粧品を使い始めた人が効果を実感し、アフターコロナで人に会う際の印象を良くしようと購入を継続する傾向も見られているので、今後も市場は成長していくと思われる」と話す。
今後さらに多くの企業で、こうしたメイクセミナーも活用されそうだ。