男性の化粧品の需要が高まっている中、資生堂が企業や学校、自治体などを対象にしたメンズメイクセミナーを始めた。同社にとって、初の試みだという。

セミナー名は、「メンズビューティーアップコース〈アドバンス編〉」。社会人として基本的な身だしなみやスキンケア方法に加え、肌の悩みを自然にカバーするベースメイク、眉の描き方、アイライナーやアイシャドウを使った目もとメイクなどを学ぶことができる。講師は資生堂の美容部員出身の社員が担う。

メンズメイクのBEFORE/AFTER(画像提供:資生堂)
メンズメイクのBEFORE/AFTER(画像提供:資生堂)
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すでに、第1回のセミナーが8月1日に千葉・柏市で行われ、高校生ら13人が参加した。参加者たちはアイブロウやアイライナーの使い方に苦戦するなど、メイク初心者の男性ならではの反応が見られたという。セミナーを終えた参加者からは「眉や目を整えることで大きく印象が変わって驚いた」「アイメイクは今回が初めて。アイライナーで印象が変わることが分かり購入しようと思う」といった感想が聞かれたそうだ。

柏市で開かれたメンズメイクセミナーの様子(画像提供:資生堂)
柏市で開かれたメンズメイクセミナーの様子(画像提供:資生堂)

7月から始めたセミナーは企業、学校、地方自治体などから多くの申し込みが寄せられており、順次開催していくという。

しかし、まだまだ「メイクは女性がするもの」という価値観の人が多そうだ。そんな中で今後、化粧をする男性は増えていくのか? 資生堂の担当者に詳しく話を聞いてみた。

スキンケアだけでなくメイクに関心を持つ男性が増加

――メンズメイクセミナーを始めた理由は?

近年、コロナ禍で普及したWEB会議によってモニター越しに自分の顔を見る機会が増えたこと、またZ世代を中心にK-POP が人気を博し、メイクをする男性アーティストが身近な存在になりつつあることなどから、スキンケアだけでなく「メイク」にも関心を持つ男性が増えてきています。一方、メイクをしてみたいが「何から始めるべきか分からない」「自分に最適な方法が分からない」「教わる場所が分からない」という理由から実践していない方も多数存在することが分かっています。

そこで、今後ますます高まるであろうメンズメイクのニーズに応えるべく、自身の魅力や好感度を高める“自己プロデュース”の手段の一つとしてメンズメイクの方法やその効果を伝えることを目的に「新メンズメイクセミナー」を新設しました。


――マスクをしなくなったことも影響している?

新型コロナウイルス5類移行以前よりメンズメイクへのニーズは拡大を続けており、5類移行を受けて、更なる拡大を予想しています。


――男性の化粧品の売り上げは伸びているの?

現在、国内化粧品市場におけるメンズカテゴリーは拡大傾向にあります。コロナ禍で市場全体が縮小を余儀なくされた2020年から2022年の3年間を見ても年平均成長率は1.9%となっており、今後も成長が期待されています。また2013年から2022年の10年間では年平均成長率3.2%となっております。(※富士経済調べ)


――個人向けとしてはこれまでにも開催していたの?

このセミナーは団体向けとなります。個人の方は、従来より、ジェンダーを問わず店頭のカウンターやオンラインカウンセリングなどで対応させて頂いています。

ベースメイク(コンシーラー)の様子(画像提供:資生堂)
ベースメイク(コンシーラー)の様子(画像提供:資生堂)

参加者「新たな自分を発見できた」

――これまでの参加者の感想は?

既にご参加くださった皆さまからは以下のような感想を頂戴しております。

「印象を良くしたいので、化粧にはずっと興味があった」
「まぶたに少し色が入ることで見た目が大きく変わって驚いた。自分の自信につながる新しい発見だった」
「かなり若くなったように見える」
「新たな自分を発見できた」
「身だしなみを整えることは自分をアピールできることに繋がるので重要だと思った」


――教えるのは、会社でも問題ないようなナチュラルメイク?

バッチリメイクには抵抗があるという男性が多いので、メイク感を出さずに自分の魅力を引き出すナチュラルメイクをメインで提案しています。なお、本講座のメンズメイクの特徴としては、アイテム数を絞りメイク感を出さずにナチュラルに仕上げることが特徴です。


――化粧というと若者のイメージがあるが、例えば40代以上にもニーズはある?

現在、若年層だけでなく40代以上も含めた開催依頼もいただいていることから、ニーズはあると考えています。特にWEB会議などで自分の映りを気にする社会人が多いことも理由の一つ。

また、40代を過ぎると若いころのようなハリが低下してくるため、そういった世代の方にも是非ご受講頂ければと思います。へアメイクの力で、40代以上の男性の「自分史上最高にかっこいい」を実現させるメンズビューティー企画「ダイヤメンズ」を企画しており、好評をいただいています。


――ビジネス上の身だしなみの一環として、化粧する男性は増えていきそう?

身だしなみはコミュニケーションツールの一つであり、信頼感を高めるには、清潔感・爽やかさも大切です。自身の魅力を高める"自己プロデュース"の手段の一つとして「メンズメイク」へのニーズはますます高まると考えています。



担当者の話では、メイクに興味を持っているのは、若年層だけでなく40代以降も多いということだ。今後は街や会社で、化粧をしている男性を見かけることも増えてくるかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。