過酷な事故を起こした、東京電力・福島第一原発の廃炉に向けた13年の歩みを振り返る。最難関の作業と言われる、溶け落ちた核燃料「燃料デブリ」取り出しへの道筋は未だ見えない。

水素爆発・放射性物質の拡散

2011年3月14日。
当時の東京電力担当者:「2回目の爆発がありました。たぶん水素爆発かと思われます」

2度目の水素爆発の一報を伝える東京電力の担当者
2度目の水素爆発の一報を伝える東京電力の担当者
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最大13メートルと推定される津波に襲われた福島第一原発。炉心の損傷と外部電源の喪失で1号機と3号機では水素爆発。2号機は爆発こそしなかったものの、直接格納容器から放射性物質を含む蒸気が大量に漏れ出た。

12日には1号機 14日には3号機が水素爆発(撮影:自衛隊)
12日には1号機 14日には3号機が水素爆発(撮影:自衛隊)

溶け落ちた核燃料

燃料デブリはどこにあるのか?どうやって取り出すのか?…極めて高い放射線によって格納容器の調査は困難を極めた。その姿が初めて捉えられたのは2017年7月、3号機だった。

2012年、2号機格納容器にカメラが初めて入り 2017年には3号機で燃料デブリを初めて撮影
2012年、2号機格納容器にカメラが初めて入り 2017年には3号機で燃料デブリを初めて撮影

2019年には、最も調査が進む2号機で、燃料デブリを掴んで持ち上げられることも確認された。
経済産業省・木野正登参事官は「デブリがどこにあるかというのをはっきりさせた上で、どういう工事の方法を取るかとか、どういう取り出し装置を作るかと、まさにその敵を知るということを今やっている」と話した。

2019年 2号機で掴んで持ち上げられることを確認
2019年 2号機で掴んで持ち上げられることを確認

困難極める燃料デブリの取り出し

2023年4月、1号機でもようやく、燃料デブリが撮影された。しかし…2024年1月25日、東京電力の会見では「今後の堆積物除去の不確実性に加えて、ロボットアームの安全性や操作性を向上させる必要があり、その調整等に時間を要すると」との見解。

2023年 1号機でようやく燃料デブリを撮影
2023年 1号機でようやく燃料デブリを撮影

2号機で2021年に始まる計画だった「燃料デブリの試験的な取り出し」は、着手の時期が「2024年10月末まで」に延期。
1号機から3号機に約880トンあると推計されている燃料デブリは、わずかな量も取り出すことができていない。

作業計画の変更で2号機での試験的な取り出しが延期
作業計画の変更で2号機での試験的な取り出しが延期

30~40年と言われた廃炉 13年が経過

福島第一廃炉推進カンパニー・小野明プレジデントは「特にデブリを中心としたような、いろんな情報をきちんと統合して、そんなに遠い将来ではないと思いますけども、廃炉の最終形みたいなのを議論できる素地っていうのは、出来上がっていくんだろうと思います」と話す。

福島第一廃炉推進カンパニー・小野明プレジデント
福島第一廃炉推進カンパニー・小野明プレジデント

廃炉の時期を議論をするための情報は集まってきている。今後は、形として見える成果の積み重ねが求められる。

(福島テレビ)

福島テレビ
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