卒業シーズンを迎え、高校生アスリートは新たな道に進む。大相撲で売り出し中の熱海富士関の妹も、大学に進学して相撲を続ける。相撲の強豪高校で史上初の女性主将を務めた彼女と、優しい兄の目標はひとつ、「優勝」だ。妹は世界大会への出場もめざす。
史上初の女性主将は熱海富士の妹
この記事の画像(8枚)静岡県沼津市の飛龍高校で巣立ちの時を迎えた武井陽奈(ひな)さん。50年以上の歴史を持つ相撲部で、女子選手初のキャプテンだ。
男子顔負けの相撲センスで伝統をつないできた彼女も、仲間たちと卒業の喜びを分かち合っていた。武井陽奈さんは「部活が一番 印象に残っている。楽しすぎてあっという間でした」と、高校生活を振り返る。
そんな彼女には、最も身近で、常に刺激を与えてくれる存在がいた。実の兄は熱海富士、本名は武井朔太郎(さくたろう)だ。
2023年9月の秋場所、11月の九州場所と2場所連続で優勝争いを繰り広げ、未来の横綱・大関候補に成長した。優しくて頼りがいのある兄だ。
地方巡業で“兄妹対決”
2023年7月の巡業で熱海富士が沼津市に凱旋した際には、微笑ましいやり取りがあった。
ファンと直接触れ合う質問コーナーに参加した陽奈さんが「武井陽奈です」と自己紹介すると、司会者が「武井って、確か…」と熱海富士に話しかけ、熱海富士は「ガチの妹です」と照れ笑いだ。
そして陽奈さんが「どのような稽古をすれば、強い相手に自分の相撲で勝てますか」と質問すると、兄は「飛龍高校で学んだ事を活かして(恩師の)栗原先生の教えで頑張っています」と答えていた。
“地方の雄” に進学 兄妹で優勝めざす
偉大な兄を追って稽古に励んだ陽奈さんだが高校ではケガもあり、個人戦3位、団体戦 準優勝と惜しくも日本一には届かなかった。
卒業後は元幕内の軽業師・炎鵬を輩出した“地方の雄”、金沢学院大学に進学し相撲を続ける。
目指すは、兄妹で“優勝”の二文字をつかみ取ること。そして、その先に控える世界大会への出場へ、陽奈さんはこれまで以上に相撲道に精進することを誓う。
武井陽奈さん:
兄も三役を目指していて、自分も世界大会に出るという目標があるので、(金沢と東京で)お互いに遠くなってしまうのですけど、負けないように自分は頑張りたい
まずは3月10日からの大相撲春場所を前頭2枚目でむかえる熱海富士の活躍に注目だ。
(テレビ静岡)