長野県の人口が50年ぶりに200万人を割り込んだ。県は若い女性の首都圏流出で婚姻数・出生数が減少していることが要因の一つとして、対策を急ぐ考えだ。県によると、2月1日時点の県の人口は1月から1800人余り減少し199万9182人だった。一方、人口が増加している市町村もある。白馬村、御代田町、南箕輪村、軽井沢町、野沢温泉村、原村、小谷村。外国人を含む移住者が多いことが特徴。今年3番目に多かった南箕輪村は、毎年のように人口増加が続いている。なぜ、増え続けるのかヒントを探った。

人口が増加した自治体
人口が増加した自治体
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子どもの数増 高齢化率23.6%

子どもの元気な声が響く。南箕輪村の南原保育園。2010年時点の定員は100人だったが、園児の増加で改築を重ね今は定員が200人。192人が通っている。

移住してきた母親は「南箕輪村は良いって言いますよね、昔から。子どもに優しい」、「子どもの数はすごく増えてます。近所にもどんどん家が建っている」と話す。

移住者はー
移住者はー

伊那盆地の中心に位置する南箕輪村。人口が増え続けている。

1965年に6100人余りだった人口は、2月1日時点で1万6201人。60年で3倍近くになった。

子どもの数も増え、高齢化率は県内で最も低い23.6%。

一番の要因は子育て世代の移住者の増加。ここ数年、800人程度の転入が続いていて、このうち200人前後は県外から。

南箕輪村の人口推移
南箕輪村の人口推移

充実した子育て支援

2022年6月に静岡から移住してきた西尾さん家族。長男の正悠くんが生まれたことをきっかけに移ってきた。移住後の2022年1月には次男の楽くんも生まれた。

西尾正世紀さんは、「私たち夫婦が山登りが好きで上の子が生まれるときに、子育てを長野でしたいと。われわれの好きな山登り、アルプスのふもとで子育てをしたいなという思いがあった」と、移住の理由を話す。

静岡から移住してきた西尾さん家族
静岡から移住してきた西尾さん家族

魅力の一つが自然豊かな環境とアクセスの良さ。大型スーパーや病院がある伊那市は生活圏。さらに中央道で首都圏などへのアクセスも良好。

そして、一番の理由について、西尾圭衣子さんは、「うちは年子なんですけど、保育園に入れるときに相談したら、上の子と下の子を同じ保育園に入れてもらうようにしたりとか、融通利かせて相談に乗っていただいているので、子どもたちと一緒に住むにあたっても、小規模な村だからできるアットホームさや優しさはすごく感じている」と話す。

南箕輪村の南原保育園
南箕輪村の南原保育園

充実した「子育て支援」。村はおよそ20年前に保育料を5%引き下げ、その後も段階的に下げ続けている。

西尾さん夫婦も県内で他に移住先の候補はあったが、子育て支援の手厚さ、「移住者の先輩」が多かったことも決め手になった。

南箕輪村
南箕輪村

女性の就業支援も

人口が増え続けることについて、藤城栄文村長は、「移住してくる人が増えないと、出生率の関係で人が増えることが起きませんので、子育て支援を他の地域より早く始めたことで口コミが広がって、若い世代を中心に南箕輪で家を建てる、そういったトレンドが起きている」と分析している。

南箕輪村・藤城栄文村長
南箕輪村・藤城栄文村長

働きたい女性への支援も行ってきた。育児からの復職を希望する女性などと地元企業とをマッチングする事業にも力を入れている。2016年の開始以降、およそ300人が就職している。

藤城村長は、「子育て支援と同時に働く女性を応援することも行っていて、再就職のサポートセンターもかなり好評で、人口増加に大きく寄与していると思う」と胸を張る。

女性向けの就業支援
女性向けの就業支援

若い世代、女性に選ばれる村に

村の人口千人に対する出生数は10.1で県内トップ。子育て支援、女性向けの就業支援などによって県が課題としている若い世代、そして女性に選ばれる村になっている。

藤城村長は、「10万人当たりの出生数が全国で100位以内に入っていますから、他の地域から人を取っているわけではなく、住みよい、暮らしやすい地域をつくることで、子どもを出産することを決断する家族が増えている」と話す。

女性に選ばれる村に
女性に選ばれる村に

(長野放送)

長野放送
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