人と食事をしたり、あるいはその場面を想像すると、不安感に襲われ、吐き気や動悸(どうき)、めまいなどに襲われる「会食恐怖症」

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「楽しい食事が“ストレス”になってしまう」そんな症状を経験したという声が、今、SNSを中心に多く上がっています。

社交不安症(SAD)の症例のひとつと言われており、「誰にでも起こり得る」この症状は、人によっては家庭や友人関係、恋愛や仕事にも影響が出てしまうことも。

症状が現れるきっかけのひとつに指摘されているのが「給食」
「めざまし8」が取材した症状に悩む20代の男性も、給食の際に昼休み以降も食べ続けさせられたことが原因だと話します。

会食恐怖症に悩む男性(20代):
昼休みの時間とか、その次の時間まで残されて、ずっと給食を食べ続けるというような、残しちゃいけないという…。給食の時間にどうしても、給食の置かれた自分の席に座ることができなくなって、保健室に友達に連れて行ってもらったりしました。
(今でも)残しちゃいけないっていう強迫観念にかられてしまって、ごちそうになっているものを食べきれなかったりとか、相手に対して申し訳ない。

こうした経験から、今でも目上の人との食事では、恐怖を感じてしまう状態にあるといいます。

別のケースで「会食恐怖症」になってしまったという人もいます。自身も会食恐怖症で、「食べなくてもいいカフェ関東」の店長も務めるりょうたさん。

「食べなくてもいいカフェ関東」店長 りょうたさん:
周りから「もっと早く食べなさい」って注意されることが多かったので。元々食事に対しては苦手意識がありまして。(発症したのは)高校3年生のときです。友達と外に出かけてご飯を食べた時に、急に気分が悪くなってしまって。このトラウマだったりとか、その後すぐに大学受験があって、そのストレスっていうのが大きかったので。大学に入学するときには人とご飯を食べるのが無理になっていました。

「完食指導」で…大人になってから発症する人も

様々な要因で発症してしまう「会食恐怖症」。
日本会食恐怖症克服支援協会が「発症したことのある経験者」642人に聞いたアンケートでは、原因として「完食指導や周りからの強要」が最も多く223人で、34.7%。その中でも、「給食で先生から」と答えた人が161人で、72.1%でした。

実際に「会食恐怖症」になってしまったとき、どのように向き合っていけば良いのでしょうか?「日本会食恐怖症克服支援協会」の設立者で、自らも会食恐怖症だった山口健太氏は、治療法についてこう話します。

日本会食恐怖症克服支援協会 山口健太氏:
一般的には薬物療法だったりとか、認知行動療法などがエビデンスのある治療方法として推奨されていますね。私も学生の頃に悩んでいたんですけど、大学生の時、飲食店でアルバイトをしていまして、まかないを食べるんですね、みんなで。そこのまかないが食べられなくて、お店の方に相談したところ、理解してもらえて食べられたという経験から、少しずつ良くなっていったというのがあります。

「会食恐怖症」になるのは、子どもの頃や学生の時だけではありません。社会に出てから会社の付き合いでの食事に悩んでいるという人も多くいます。

40代女性・会社員:
上司とご飯行くと残さず全部食べなきゃっていうのはありました。私もおなかいっぱいだしと思って、店員さんがたまたま通りかかったときに、「すみませんこれも」っていう感じで横に流しちゃいました。

20代女性・会社員:
ごちそうしてもらうことが多いんですけど、「好きな物を頼んで」と言われることも多くて、上司の嫌いな物を知らなくて頼んでしまった時に、「全部1人で食べて」って言われたことがあって、それ以来、選びにくい。

小室瑛莉子アナウンサー:
やはり目上の方との食事とか、好きな子との食事とかの時に、残す子って思われたくないし、きれいに食べたいしというので、おいしく食べるということ以外に意識が向いてしまうのは、もったいないなと思うことはあります。

MC谷原章介:
食べるとか、そういう行為って生き物としての原初的なところがあるじゃないですか?ですから、食べること自体見られるのも恥ずかしい人というのはいるかもしれないですね。
誰かといることが恐怖という以前に、口に物を入れて咀嚼(そしゃく)しているのを見られるのも恥ずかしいという人もいると思うので、そういった方への配慮は必要かもしれませんね。

無理に食べさせない新たな取り組み

大人になっても悩む食事。そんな中、「無理に食べさせなくても、園児たちが完食する食育方法を行っている」と注目されている保育園があります。

東京・世田谷区にある「さくらしんまち保育園」。

さくらしんまち保育園 小嶋泰輔園長:
入園した当初は野菜を全く受け付けない子もいるんですけど、卒園する頃には野菜を受け付けないっていう子はもういないですね。

この園で行っている取り組みというのが、子どもの好きなタイミングで食べる量を調節できる「セミバイキング形式」です。

苦手な食べ物がある子には、周りがおいしそうに食べる様子を見せるなど、興味を持ってもらうように工夫。少しずつ、食事に親しめるようにしていきます。

MC谷原章介:
こうやって自分で申告して、食べきったという成功体験を得るのもとても大事だと思いますし、「これは苦手です」と言えるようになるというのが素晴らしいことですね。

――これからどのような事を習慣化していけば、悩みを抱えている方とそれを受け入れる方がもっと調和した世の中になっていきそうですか?
日本会食恐怖症克服支援協会 山口健太氏:

やはり、楽しく食事をするということを土台にして、そこから食べる食べないは個性がありますので、そこは受け入れあって食事をするというのがいいのかなと思います。

MC谷原章介:
量が食べられない人は俺と行ってくれたら、いくらでも食べるから。全部食べる、全部食べる。
(めざまし8 3月6日放送)