世界のトップブランド「エルメス(HERMES)」が認めた愛媛出身の美術家・京森康平さん。次世代の芸術家として国内や、海外からも注目される内子町出身の現代アーティストを取材した。

絵画に「装飾」を施す緻密な作品の数々

強烈な色彩と、細部にまで散りばめられた緻密なデザイン。
美術家・京森康平さんの作品の題材は、世界各国の「装飾文化」だ。

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日本の和柄やアジアのエスニック柄、イスラムの幾何学模様。
こうした世界各地の伝統衣装や建物などを飾る模様…“装飾”を組み合わせ、平面にうつし出す。

さらに、緻密なデザインのひとつひとつには、立体的な装飾が施されているのだ。

作品のベースは、パソコン上で作った図柄をキャンバスに印刷したもので、そこに日本古来の岩絵の具(鉱石などを砕いて作る絵の具)やレジンなどの樹脂を使って、「絵画」という平面に立体的な「装飾」を施す。

内子町出身の美術家・京森康平さん:
僕が20代の頃にイタリアに留学していた時期があって、ステンドグラスだとか、いろんな装飾性のあるすごく壮大なものなので、装飾性っていうことは見ただけでダイレクトに脳とか体に伝わってくるような強さがあると考えていて、そういったものを絵画だとか、いろんな作品に表現したいなと思ってやっています

20代はグラフィックデザイナーとして活動していた京森さん。

アートの世界を志し、2019年の国内のアートコンペで準グランプリを受賞。2020年には世界の一流ブランド・エルメスのコンペ「エルメス国際スカーフデザインコンペティション」で、世界123カ国、約5500人の中でグランプリを受賞した。

ここ数年はアジアやヨーロッパでも個展を開いていて、次世代のアーティストとして、国の内外で注目を集める1人だ。

伝統芸能とのコラボで新たな表現も

道後の旅館・大和屋本店の能舞台「千寿殿」で、京森さんの作品を配して能楽・観世流シテ方の橋本忠樹さんが「能・仕舞」を披露するというユニークなイベントが行われた。

舞台上に飾られた作品には、梅の花の間を蝶が飛び交う様子が描かれている。

観客:
ほんと文化とか何も知らずに御縁があって参加させていただいたんですけど、絵もすごくお話聞いてステキだなと思いましたし、能の舞台もステキでした

観客:
素材は何を使ってるんだろうと思うんですけど、美しいなと思いました

観客:
非常にディティールがちょっと艶っぽいところもあったり、非常に凝った作りで、すごいなと思いました

内子町出身の美術家・京森康平さん:
能とのコラボは日本の伝統芸能としてすごく重要な文化だと思う。そういったものとコラボレーションできること、非常に今日はうれしく思ってます

原点のひとつは故郷で培った“価値観”

日本はもちろん、世界各地の伝統や文化を「理解」し「表現する」作品作り。
その原点は「ふるさと・内子町」にもあるという。

内子町出身の美術家・京森康平さん:
僕は愛媛県の内子町という、昔からある街並みが有名な町で生まれ育ったんですけど、そういったものが自分に古いものの良さだとか、価値観ということで影響しているところがある

愛媛から世界へ。京森さんが描く、これからの作品作りは…。

内子町出身の美術家・京森康平さん:
装飾っていうことの1つの僕の答えというか、やりたい未来の1つとして壮大なものっていうことは1つのテーマだなと思っていて、僕1人で作り上げるっていうよりは、いろんな人と参加することで壮大なプロジェクトになって、それを色んな人と共有するとか、未来に残し続けるとか、そういったことをどこかでやりたい

「装飾」を通じたアート作品を通して、共感性や多様性を表現していきたいとも話す京森さん。
時代の流れの中で、その活躍の場はますます広がっている。

(テレビ愛媛)

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