2月29日、岸田首相が史上初の現職首相として、衆議院政治倫理審査会に出席。自民党の裏金問題を巡り、自民党総裁として謝罪した。野田元首相をはじめとする野党からは、政治資金パーティーの問題について厳しい追及があった。

吉田松陰の言葉を引用して弁明

現職首相として初めて政治倫理審査会に臨む岸田首相は、2月29日午後2時前、国会の中へと入る際に、ほのかに笑みを浮かべる表情を見せた。

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岸田首相が向かったのは、衆議院3階にある第5委員会室だ。

着席した岸田首相は、そわそわした様子で何かつぶやいているように見える。その後、水を一口、飲んだ。

そして、午後2時過ぎ、衆議院政治倫理審査会・田中和徳会長が「衆議院政治倫理審査会規定により、議員・岸田文雄くんから弁明を聴取いたします」と宣言、裏金問題を巡る政倫審が始まった。

現職首相が出席するのは、史上初のことだ。

冒頭、岸田首相は「疑念を招き、そして政治不信を引き起こしていることに対して、自民党総裁として心からおわびを申し上げます。いま私は『すなわち後来の種子未だ絶えず』という言葉、つまり、志を持った有望な人材を将来に引き継いでいくことの大切さを述べた言葉を、いまかみしめています」と話した。

自民党総裁として謝罪した上で、幕末の志士、吉田松陰の言葉を引用し、弁明した。

最初に質問に立ったのは、同僚である自民党の鷲尾英一郎議員。
鷲尾議員は「岸田総裁自ら出席をすると。昨日までは全く考えられなかったこと。総裁が自ら政倫審に出席をするに至った思いをお聞かせください」と質問した。

岸田首相は「このままでは、国民の皆さんの政治に対する不信、ますます高まってしまう強い危機感を感じた。信頼回復に向けて努力していく、その覚悟を示させていただく」と答えた。

それに対し鷲尾議員は「いざとなったときに、政治家は秘書に責任を押しつけて責任をとらないんじゃないかと、国民は怒っている。国家を担う政治家が一大事に臨んで、秘書に責任を押しつけるようでは信頼が成り立たない。連座制についての考えを総裁からお聞かせていただきたい」と追及。

岸田首相は「悪質な場面は会計責任者のみならず、政治家本人も責任を負う。こうした法改正を行うことが重要である」と答えた。

身内の自民党議員からの追及に、岸田首相は法改正が必要との考えを示した。

野田元首相が再三追及

午後2時半過ぎ、続いて質問に立ったのは、立憲民主党の野田元首相。

岸田首相が首相就任後に開いた政治資金パーティーについて、ただした。野田元首相は「派閥のパーティーの問題もあるが、総理自身が何回も何回も政治資金パーティーをやることも大きな問題。全く反省がない」と追及。

岸田首相は「私のパーティーについてですが、総理就任前から続けている勉強会を引き続き続けているというものであります。野田内閣の際にも、何人かの大臣が政治資金パーティーを開催しております」と発言した。

野田元首相は「例えば、2022年の4月に3回パーティーをやっている。1カ月に3回。2022年の4月といえば、2月にウクライナ侵攻がありました。知床半島では遊覧船の沈没事故もあった。いろんなことが国内外で起こっているときに3回もパーティーやっているんです。おかしいですよ」と伝えた。

それに対して岸田首相は「政治資金パーティー等が、総理大臣としての職務に影響を与えたということはない」と返答。

野田元首相は「内閣総理大臣になったら、やっぱりやめなければいけないと思う、この慣習を。もう内閣総理大臣としては政治資金パーティーはやらないと明言できないんですか」と質問。

それに対して岸田首相は「内閣総理大臣としてパーティーを開催すること、これは今は考えていません」と答えた。

さらに野田元首相は「今は考えていないなら、ほとぼりが冷めたらやるってことじゃないですか」と質問。これに対し岸田首相は「結果的に在任中はやることはないと考えております」と返答した。

野田元首相の再三の追及に、岸田首相は在任中はパーティーを行わないことを明言した。

岸田首相が勝負に出た政倫審への出席。その判断は吉と出るのか、それとも凶と出るのか。

野田元首相は「なぜ、この政治倫理審査会に出るのか。党の総裁として責任をどう感じていますか」と質問。

岸田首相は「政倫審は規則の中で本人の意思を尊重すると。(当時)御党(民主党)元党首(鳩山由紀夫氏)も政倫審に招かれた際、出席しなかった」と答えた。

午後2時過ぎから始まった、衆議院の政倫審「政治倫理審査会」。現職総理として始めて出席した岸田首相を、立憲民主党の野田元首相が追及した。

野田元首相は「裏金で立件され、刑事処分の対象となったのは3人。他の裏金にかかわった議員は刑事事件にもならない、責任を問われない。説明責任も果たさない!税金も払わない!処分もない!何にもないんだったら、同じことがまた起きますよ!」と追求した。

岸田首相は「説明責任の果たし方、事実の状況もしっかり踏まえながら、党としての処分を始めとする政治責任についても判断を行っている」と答えた。

今後は安倍派の4人も出席

午後3時過ぎ、続いて質問に立ったのは、日本維新の会の藤田文武幹事長だ。

藤田幹事長は「宏池会(岸田派)は2018年からの3年間で約3000万円、3059万円の不記載。この3059万円というのは何らかの形でぴったり残っていたんですか?」と質問。岸田首相は「指定された口座に振り込まれていたと報告を受けています」と答えた。

藤田幹事長は「漏れ落ちてた分が、ぴったり残っていたということなんですね」と聞くと、岸田首相は「修正した金額に合う形で、口座に残っていたと報告を受けています」と返答した。

29日は岸田首相に続き、二階派で事務総長を務めた武田良太元総務相も政倫審に出席した。3月1日は、安倍派の4人が出席する政倫審が行われる。
(「イット!」 2月29日放送より)

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