鳥インフルエンザが世界で猛威を奮い、南極大陸にも初めて鳥インフルエンザが上陸した。渡航医学が専門の関西福祉大学教授・勝田吉彰さんが解説する。

■南極で初確認の鳥インフル ペンギンへの感染懸念

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今回初めて鳥インフルエンザが確認されたのは、日本から遠く離れた南極大陸。スペイン科学研究高等会議は25日、南極のプリマベラ基地の近くで、1羽の海鳥の死骸から高病原性鳥インフルエンザのウイルスが確認されたと発表した。

近隣の島ではすでに確認されていたが、南極大陸本土では初確認となった鳥インフル。そこで懸念されるのがペンギンへの感染だ。ロイター通信は、外敵や寒さから身を守るため集団で暮らすペンギン同士の間で、まん延するおそれがあるとしている。集まってよちよち歩く姿もかわいいが、ことしはペンギンたちも少し離れて生活したほうがいいかもしれない。

■ウィルスは渡り鳥が運んだと思われる

極寒の南極で、鳥インフルエンザウイルスは活動できるのだろうか?

関西福祉大学 勝田吉彰教授:
今回のウィルスは大陸から、渡り鳥に乗ってきたんだろうという話になっています。動物の体内はあたたかく、ウイルスが生きることができますので。

今回初めて南極大陸に鳥インフルエンザが上陸したということだが、実は鳥インフルエンザは世界中でまん延をしている。2022年9月以降、鳥インフルエンザの発生、それから鳥への感染が報告された国・地域は70以上で確認されている。キツネなど鳥以外の動物への感染も報告されている。

人に感染するのかどうかというと、2023年1月、エクアドル国内で初めて人への感染が確認され、子供が重篤な状態になった。そして2023年の2月、カンボジアでも人の感染が2例確認され、1例で亡くなっている。

鳥インフルエンザは人にも感染するのだろうか?

関西福祉大学 勝田吉彰教授:
可能性はあります。

もし人間がウィルスに感染したらどうなるのだろうか?

関西福祉大学 勝田吉彰教授:
最初の症状は、いわゆる呼吸器症状です。そして割と早く肺炎に、というのが1つですね。それからもう1つは免疫系の暴走と言われる状態、すなわち、免疫が異常に活性化してしまって私たちの正常な肺の細胞を攻撃してしまうという厄介な問題もあります。多臓器不全になって治療が遅れると、亡くなってしまうということがあります。

日本ではまだ人への感染は確認されていないが、感染が確認されたらどう対応すればいいのだろうか?

関西福祉大学 勝田吉彰教授:
とにかく早く受診すること。鳥インフルエンザが流行していると必ず報道に出ますから。2006~7年あたりにインドネシアで、もう1つエジプトで感染が出ました。子供が感染して症状も出たのにお金の問題で受診できない。迷ってるうちに手遅れになってしまったということがありました。日本は国民皆保険があるので、疑わしい症状が出たら48時間以内に受診してほしいですね。

■生活者が心配なのは「卵の高騰」

もう一つ、2023年に鳥インフルエンザの影響で卵の値段が高騰したが、ことしも高騰する心配はないのだろうか?

関西福祉大学 勝田吉彰教授:
可能性はあるだろう…というお答えになります。人間の知恵は限られていて、ウィルスを完全にシャットアウトすることはできません。私がいま注目しているのは九州大学の報告です。『ハエが関与している』と。ハエが関与していると今度は、ハエ対策をやっていく必要があります。そうやって、1つずつ穴を埋めていけば…とは思います。ただ現時点で、卵の高騰の可能性はあるでしょうという風に言わざるを得ないです。

政府は卵の安定供給に向けて対策しているのだろうか?

関西テレビ 神崎博解説デスク:
政府は22億円の補正予算を組みました。実は卵は加工して粉状にしておけば、パンとかスイーツなどには粉状の卵を使うことができます。粉の卵も今までは輸入に頼っていましたが、ここでまずその製造できる設備を作って、さらに在庫を多めに抱えて、なにかあった時にこの粉状の卵を使えるようにするという形で備えるということをやっています。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年2月29日放送)

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