災害で自宅が停電した場合、電源を失った時点で命の危機に直面するのが、日頃から人工呼吸器などによる医療的ケアが必要な人たちだ。こうした人たちの不安解消へ、都城市では受け入れ施設がどれだけあるか実態把握が進められている。

災害時でも必要な“命をつなぐ電源”

能登半島地震で、石川県では最大約4万戸が停電し、1月末時点でも約2,500戸が復旧できていない状況にあった。災害時に自宅から避難する場合、命をつなぐため電源が必要となるのが、日常的に医療的ケアを必要とする人たちだ。

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都城市で暮らす野崎((※崎は「たつさき」)かおりさんと長男の健太郎さん(20)。健太郎さんは脳性まひのため、入浴の時間以外は人工呼吸器を使い、機械によるたんの吸引でも電源が必要だ。

かおりさん:
これ(人工呼吸器)は絶対外せない大事な機械ですね。生きていく上で必要なものです

息子のために「電源だけは譲れない」

災害時の停電に備え、野崎さんは約120万円をかけ、太陽光発電での蓄電池を自宅に取り付けた。都城市からの補助を受け、ポータブル電源も購入した。以前、台風で30分ほど停電した際、野崎さんは祈るような気持ちで復旧を待ったと話す。

かおりさん:
ドキドキ本当に。夜で怖かったので、早く(電気が)戻って来てという気持ち。本当に(停電が)短くてよかったという感じでした

災害で停電した場合、自宅での避難は3日程度が限界では…と、野崎さんは不安を抱えている。

かおりさん:
どうしようもない時は、安心して暮らせる安全な場所に行くしかないですよね、病院とか。命をつなぐものなので、電源だけは譲れないですよね。これがなくなってしまったら息ができないとか、苦しい状況に陥ってしまうので。生きていけないので

医療的ケアが必要な人の不安解消へ

こうした不安を解消しようと、都城市の障害者自立支援協議会が2023年にアンケートを実施した。

生活介護などのサービスを行う約130の事業所を対象に、医療的ケアが必要な人を受け入れることができるか、非常用電源の有無も含め確認を進めている。

都城市 障がい福祉課・藤田貴弘主幹:
医療的ケアが必要な人もいろいろな症状があるかと思いますので、その方に対応できるような、少しでも安心して生活できるようなリスト化も含め整備ができればと思います

今後、都城市ではアンケートで寄せられた情報の公開を検討していて、医療的ケアが必要な人たちの安心につながればとしている。

熊本県では、在宅で人工呼吸器を装着する人を受け入れる医療機関をあらかじめ決めておく体制が整っていて、熊本地震で全県的に機能したという。
また、宮崎県内でポータブル電源の費用を補助しているのは12の自治体にとどまり、この点も支援の広がりが求められる。

(テレビ宮崎)

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