新型コロナウイルスの感染拡大で急速に広まったテレワーク。

場所を選ばずに仕事ができるようになったことで、いま地方で暮らすことの価値が見直され始めている。感染収束後の世界における、地方の可能性とは…

テレワーク普及と共にUターンした社長

新潟市中央区。

ビルの共有スペースで仕事をしていたのは、スマートフォンのアプリの分析事業などを手がけるフラーの渋谷修太社長。パソコンの画面を通して話しかけていたのは、千葉の本社に勤める社員。

フラー・渋谷修太社長:
"新潟Uターンプロジェクト"みたいな感じにして。今コロナで行き来できないからオンラインでやって、新潟の企業の経営者とか登壇して、それを新潟出身のUターン考えている人が聴くみたいな

新潟にUターンして就職したい学生向けのイベントを提案する渋谷社長だが、企業の社長がなぜ新潟でテレワークをしているのか。

ーー自身もUターンしてきた?

フラー・渋谷修太社長:
そうですね。Uターンしたのは6月5日ですね

故郷の新潟に骨を埋める覚悟を決めました。

新潟出身の渋谷社長は、大学を卒業後にIT企業に就職し、その後 千葉に本社を置くフラーを創業。しかし6月Uターンし、新潟へ移住した。

その理由は、新型コロナウイルスによるテレワークの普及だった。

フラー・渋谷修太社長:
新型コロナウイルスの影響で、直接会うアポがほとんど無くなって、ほぼ全てが電話会議に切り替わった。なんか「あれ、これよく考えたら別にどこに住んでいてもいいな」って思って

調査研究機関のパーソル総合研究所によると、2020年4月に最初の緊急事態宣言が出されると、テレワークをする人の割合は前の月に比べ全国で約2倍に。

宣言が全国で解除されたあとも割合はほとんど変わらず、テレワークがある程度定着しつつあることが伺える。

フラーではもともとテレワークを週1回まで可能としていたが、緊急事態宣言が出されて以降、現在は無制限にしている。

フラー・渋谷修太社長:
東京に人がいて、その人たちと会うためだけに自分は住んでたんだなってことが改めてわかって。今しかないと思って、新潟に行こうっていうのをゴールデンウィークくらいに決めました

無理に首都圏で仕事をしなくてもいいのでは?

拠点は「首都圏でなくてもいいのではないか」。こうした気付きを多くの人が得たと話すのは、新潟大学・宍戸邦久教授。

新潟大学 経済科学部・宍戸邦久教授:
東京の仕事も新潟でできるんだということが明らかになりましたので、そういう「気づき」によって、これまでなかなか動かなかった地方への仕事の移転といったものが可能になってくるんじゃないかなと

これまでは企業や仕事が集中し、多くの人を引き寄せていた首都圏。しかし宍戸教授は、テレワークで自由な働き方が広まると、過密で過酷な通勤・通学を強いられ地価が高い首都圏より、人口の密集していない資源の豊かな地方圏のほうが日常生活の面で優位に立つと考えている。

新潟大学 経済科学部・宍戸邦久教授:
「新潟でこんな生活ができるよ」「新潟でこんな仕事ができるよ」というころを示していくことで、新潟県においても大きな可能性はあるというふうに私は考えております

こうした状況を、地域活性化のチャンスに変えようとする動きも出てきている。

リゾートマンションで暮らしながらテレワーク

2019年起業し、湯沢町で移住支援などを行う会社「きら星」。

ウイルスの感染が拡大した2020年4月から、オンラインを使って移住に関する説明会を精力的に開いている。

きら星・伊藤綾代表:
非常に興味を持って聞いてくださっている方が多いなというふうに感じました

そんな「きら星」が湯沢町を活性化する起爆剤として注目しているもの、それは…

きら星・伊藤綾代表:
湯沢町に眠っている"リゾートマンション"という資産をうまく活用して

スキーブームの際に次々と建設されたリゾートマンション。しかしバブル崩壊とともに需要が減り「負動産」とも呼ばれてきた。

きら星・伊藤綾代表:
リモートワークで地方に来る人っていうのも増えると思いますし、可能性しかないかなと思っています

「きら星」に勤める草間沙織さんは2020年3月、転職を機に神奈川県から移住し、現在はリゾートマンション暮らし。

きら星・草間沙織さん:
カエルの鳴き声とかもすごい聞こえてくるので、首都圏の友だちとオンライン飲みとかしていると「どこにいるの?」みたいな、「なんの声」みたいなことをよく言われます

副業で首都圏の人ともテレワークでやりとりする草間さん。緑を眺めながら仕事ができるこの部屋の家賃は約3万5,000円。またスキーウェアを干せる乾燥室のほか、大浴場などがあるのもリゾートマンションならでは。

きら星・草間沙織さん:
こんなところでマンション暮らしができるって想像もしていなかった

「きら星」では、移住に関する問い合わせがウイルスの感染拡大以降、約3倍に。現在は、リゾートマンションにお試し移住ができるプランも提供している。

きら星・草間沙織さん:
(仕事に)全く支障とかはないです。湯沢は東京へのアクセスがすごくいいので、両方いいとこ取りみたいなところで、少しずついろんな使い方・いろんな暮らし方をする人が増えるといいのかなと思ってます

テレワークの普及で、その魅力に気づく人が増え、地方に当たりはじめたスポットライト。新型コロナ終息後の地方の未来は…

きら星・伊藤綾代表:
地方って、不便なことが多いと思うんですよ。でもその不便とか非効率の数だけ、そこには可能性があるので。新しい働き方や関わり方、そういったものも今後増えてくるんじゃないかなと思ってます

企業の未来は…

フラー・渋谷修太社長:
今 新潟に足りていないものは、新しい産業とかが集積してくるっていうことだと思っているんで。色んな人たちが集まってきて、みんなで盛り上げていこうよってなるといいなと思っていますね

地方をとりまく新しい時代が始まっている。

(NST新潟総合テレビ)