2024年2月第3週、史上最高値に迫った日経平均株価が19日わずかに下落。都内の証券会社ではくす玉が準備されたが、持ち越しとなった。市場ではアメリカの半導体企業の決算に注目が集まっている。

史上最高値更新目前に株価値下がり

2024年2月第3週、史上最高値目前まで迫った日経平均株価だが、19日は小幅に値下がりした。

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週明けの平均株価は、前の週1週間で1500円以上値上がりした加熱感がある中で、週末のニューヨーク市場での株安を受け、半導体関連株が売られ、一時200円以上値下がりした。

ただ、市場では株価上昇への期待感が根強く、午後に入ると下げ幅を縮小した。

準備されたくす玉は持ち越しに
準備されたくす玉は持ち越しに

東京・日本橋にある岩井コスモ証券では史上最高値更新を控え、くす玉が準備されたが、くす玉割りは持ち越しとなった。

19日の終値は3万8470円38銭。19日のニューヨーク市場は休場となっていて、市場では日本時間22日朝に予定されている、アメリカの大手半導体企業の決算に注目が集まっている。

 国外収益と内需減少のアンバランス

「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
株価が史上最高値の目前まできましたが、崔さんはどうご覧になりますか。

エコノミスト・崔真淑さん:
本当に勢いのある動きだと思います。ただ、肌で感じる経済とは「違う」という方も少なくないと思うんです。

というのも、そもそも日経平均とは、日本で上場している約4000社の中から、各業界を代表する企業で、取引が活発で流動性が高い225銘柄の平均株価であり、その特性上、一部の企業の株価に左右されやすいです。

今は、AIブームで半導体関連企業が絶好調で、海外で収益を上げるグローバルカンパニーも収益を伸ばしている。こうした企業の株価が上昇し、日経平均を押し上げている。これが違和感の正体なのかと思っています。

堤キャスター:
確かに、株価は上がっても、景気の回復は実感できていないですよね。

エコノミスト・崔真淑さん:
肌で感じる経済、暮らしに関わる内需は実は非常に厳しいんです。例えば、先日発表された10-12月期GDPでは、消費を反映した国内需要は連続でマイナスでした。しかも、コロナ前の水準よりも低いんです。実際、内需ありきの企業の株価は厳しく、ベンチャー企業の株価については、安値を更新する企業もあります。

いま、ようやく目前に迫ったバブル期の史上最高値は、内需が株高を先導したもので、物価の上昇を超えるペースで給料やボーナスがあがり、好景気を実感できるものでした。

堤キャスター:
やはり、お給料のアップによって景気の回復を感じるという方も多いですよね。

エコノミスト・崔真淑さん:
当時の日経平均は金融、不動産、通信といった内需中心の企業の株価が軒並み上がり、それと一緒に、国内企業に従事する労働者の賃金も上昇していました。

これに対して、今の日経平均はグローバルカンパニーありきなので、内需ベースの国内企業との業績に加えて、賃金動向もまた、その差が生じやすいのではないかと思います。

実質賃金のプラス浮上は2025年以降か

堤キャスター:
内需が盛り上がり、賃金が上昇する機会は、いつ訪れるのでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
物価以上に賃金があがる、実質賃金のプラス浮上は2025年以降かなと思っています。これだけ国内消費が弱い環境で、日本銀行が金融緩和を縮小するとなれば、さらに重石になる可能性もあるかと思います。

堤キャスター:
物価、株価、そして賃金がセットで上がっていくのが、景気回復のセオリーなのかもしれません。景気の行方は長い目で見ていく必要があるように思います。
(「Live News α」2月19日放送分より)

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