物産展などで人気の「干し芋」の美味しさは多くの方がご存知だろう。実はその干し芋を作るには、大量の加工残渣(生産で生じる廃棄物)が出ていたという。

そこで、そんな今まで捨てていた「皮」を原料にしたスナックが登場した。

(出典:東京バル)
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食に関する社会課題にも取り組む株式会社東京バル(茨城・つくば市)は1月31日、干し芋の皮を使ったスナック「皮いいね」を発売。同県の事業者から寄せられた「年間2000トンもの干し芋の加工残渣を商品化したい」との声を受けたことが開発のきっかけだったという。

原料は、さつまいもと米ぬかのみで添加物は不使用。サクッとくちどけの良いパフ状で、砂糖を使っていないのにもかかわらず驚くほどの甘さが感じられるという。また、さつまいもには「ヤラピン」という腸の働きを整える特有の成分があるため、健康や美容の味方のおやつに仕上がったとしている。

「皮いいね」は15g入りで298円(税込)で賞味期限は1年間。同社サイトを始め、茨城・東京に店を構える焼き芋専門店「芋やす」などで購入できる。

さらに2月16日には、青汁やにんじんなどオーガニックジュースを作る際の搾りかすを活用したスナックの「SALAD TO GO」の発売を予定している。

(出典:東京バル)
(出典:東京バル)

東京バルはこれまで、食品加工における大量廃棄、温暖化ガス排出、安全性など、食に関する社会課題に取り組んでいたというが、どういう経緯から干し芋の皮のスナックを作ることになったのか?

「皮いいね」は、どんな人におすすめなのか。東京バルのCo-Founder(共同創業者)である筒井玲子さんに聞いた。

「皮いいね」開発の背景には出産・子育ての経験

――「皮いいね」は、どんな経緯から開発することになった?

東京バルは、元々茨城県で飲食店を展開していました。 食品業界には、食品加工に関連する大量廃棄、温暖化ガス排出、安全性などの社会課題があり、東京バルは、元々こうした社会課題の解決の一助を担いたいという想いを持っていました。

さつまいもスナック「皮いいね」の開発には、特に、自分の出産をきっかけに、お野菜の皮や葉っぱなど最も栄養価の高い部分をできる限り使いながら子どもに与えていたという背景が関係しています。

茨城県の関係者の方や事業者の皆さんとの会話の中で、“名産干し芋の皮の廃棄が課題になっている”と話題になったときに、ぜひその課題解決プロジェクトに携わりたい、自分たちであれば喜んでいただける美味しくて栄養豊富な食アイテムを提供できると考え、茨城県の自治体や事業者の皆さまにご協力いただき、開発が進みました。


――東京バルが、大量廃棄・温暖化ガス排出など食に関する社会課題に取り組む理由は?

個人的な私の話にはなりますが、学生時代ミスユニバースの大会出場経験があり、その中で社会課題への取り組みを多く学びました。食の課題を一つの知識として知ったのもその時です。

特に“食”への課題意識を強く持ち、娘たちが生きる地球が、少しでもより良い未来となるよう願って、自分が食の領域で貢献できることを真摯に考えながら、取り組んでいます。


――これまでは、干し芋の皮など加工残渣はどう処理していた?

大半が産業廃棄処理されています。


――「皮いいね」の開発で最も苦労した点は?

粘度です。 さつまいもの特性上、甘さを引き出すほど、干し芋がくっつくように粘度が残ってしまいます。

添加物や他の素材を使わずに、甘さを最大限引き出しながらも粘度を抑えるため、何百通りもの条件を試行錯誤しました。


――「皮いいね」は、どんな人に、どう楽しんでほしい?

課題解決とはいえ、楽しいもの・美味しいものでないと、幅広い層から受け入れていただくことはできません。「皮いいね」は、栄養と美味しさの両立を実現した食アイテムです。

小腹がすいたときや、シュガーフリー(砂糖不使用)のお菓子をお子様に上げたい方、お芋好きの方など子供から大人まで幅広い方に楽しんでいただけたらと思います。

そして食に関する社会課題に目を向ける一つのきっかけとなっていただけるとさらに嬉しく思います。 

筒井玲子さん(出典:東京バル)
筒井玲子さん(出典:東京バル)

ちなみに「皮いいね」のネーミングは、「Peel(皮)、Good(いいね)」と日本語の「可愛い」に由来しているという。「皮いいね」は環境に優しいのはもちろん、原料がシンプルなので体にも良さそうだ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。