大阪市は8日、教員が産休や育休を取得しやすい環境を作るため、欠員を補充する制度を始めると発表した。教員の”過労”問題は解決に進むのか。
■大阪市は欠員時に学級担任もたない「特別専科教諭」を配置へ

大阪市立の小中学校では現在、教員が産休や育休を取得する場合、欠員が補充されず、残った教員が業務を引き継ぐなどしていることが課題になっていた。
そこで8日、大阪市の横山市長は来年度から、学級担任を持たない「特別専科教諭」を配置すると発表。欠員が出た学校にすぐに赴任し、代わりに学級担任などの業務を受け持つ仕組みを、政令市で初めて開始する。
大阪市・横山英幸市長:働きやすく魅力的な職場環境を実現することで優秀な人材確保につなげてまいります
■奈良県では休日の教員による部活動の指導を廃止する方針

この取り組みの背景にあるのは、深刻化する教員の”過労”。
国の調査では過労死ラインを超えて勤務している中学校教師は全体のおよそ37%にも及んでいる。 改善に向けた動きは、隣の奈良県でも。
県は7日、配布物の準備や行事の補助などを担うスタッフを県と国の負担で全ての市町村の公立中学校に配置することを目指すと表明。また、2026年度から、休日の教員による部活動の指導を廃止する方針を全国で初めて明らかにした。 実際に部活動の顧問を務める教員たちはどう受け止めたのか。

大和郡山市内の中学校で2年生の担任をしている教員は、2歳の子どもを育てる母親だが…
2年生の担任・バトミントン部担当:バトミントン部を担当しています。月曜日から金曜日は通常通りで土曜は半日。日曜が試合だと土曜も練習があって、子どもがクラブ活動ある時に働いて、小さいけどなかなか遊べない。代休をとる制度はないので休みはない
一方で、去年の秋ごろから週末の活動を外部の指導員に任せるようになった部活動もある。
1年生の担任・バスケ部担当:とても助かってる。今週の土曜日、あさっては大会が試合があるんですけど、息子が誕生日なんですね。これまでは大会を優先しないといけなかったですが、今年は息子と一緒にお出かけの予定がある
しかし、すぐに実現したものではなかった。
1年生の担任・バスケ部担当:バスケ部も今まで何年かかけて段階を経てやっと(引き継いだ)のでいろんな部活に広まってほしいけど急にパンと切り替わるのは難しいのかな
大和郡山市立郡山東中学校・澁谷美奈校長:どこまで引継ぎできるのかっていうところが、教員も保護者もこどもたちも(気になる)のかな。プライベートも大事にしたいという若い先生たちの、当然のことだと思いますので、家庭も大事にしながら教員としても頑張ってもらえたら
実現のためにはおよそ500人の指導員が必要で、教育委員会は県のスポーツ協会などと連携するほか一般募集も実施して養成することを検討している。
■「教員の方の働き方は人権侵害のレベルになっている」

奈良県による教員の働き方改革、これを見ていく。国の調査によりますと、過労死ラインを超えて勤務している中学教師は全体のおよそ37パーセントに上る。
こうした中、奈良県は2026年度から休日の部活動の教員が指導することを廃止する方針だ。そこで気になるのがまず「安全性」。 安全管理の責任はスポーツクラブなどの運営母体が担う。県は安全性についての指針を定めて管理する必要があるとしている。
そして「連続性」。この改革が実現されれば、平日は教員・休日は部活動の指導員なので、指導する指導者が異なる。なので、連続性を途切れさせないように、教員・指導員間での連携が不可欠としている。
菊地幸夫弁護士:教員・指導員間での引き継ぎなどで、また教員の皆さまが時間を取られるというようなことになってしまっては困ります。ただ、外部に任せるのは、子供たちにとっても良い刺激になると思います。複数の指導者からいろんな指導を受けるのは、いい面はあると思います。もう教員の方の働き方は人権侵害のレベルになっているので、思い切った改革が必要だと思いますね
(関西テレビ「newsランナー」2月8日放送)