P&Gが2024年5月にビジネススクールを開校する。
P&Gの社員が講師となり、無料でコミュニケーション術を学ぶことができる。
日本企業のリスキリングへの関心が高まる中、P&Gによる教育のメリットとして、社外の積極的な人材との接点が挙げられる。

P&Gが無料ビジネススクールを開講

働き方が多様化する中、P&Gがビジネススクールを開校する。

P&Gジャパンがビジネススクールを開校
P&Gジャパンがビジネススクールを開校
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P&Gジャパンは、ビジネススクールを2024年5月に開校すると発表した。

スクールでは、P&Gの社員が講師を務め、人材育成の基本となるコミュニケーション術を「管理職向けコース」と「一般向けコース」の2つのコースに分け、無料で学ぶことができる。

参加者:
(フィードバックを)相手が必要とするときに、必要なタイミングでしたいなと思ってました。

講師:
なるほど、相手がその聞けるかどうかっていうところをベースに決めるんですね。

P&Gでは、20年以上前から在宅勤務を導入しているほか、30以上の国籍の社員が働くなど、さまざまな背景や価値観のもとで、職場内での人材育成を行っており、培ったノウハウを、今後スクールでも生かしていきたいとしている。

社員教育への投資が日本では必須

「Live News α」では、科学技術分野でのジェンダーギャップの解消を目指す、山田進太郎D&I財団COOの石倉秀明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
── 今回の試み、企業経営を通じて人材の育成に携わってきた石倉さんの目には、どう映っていますか?

山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さん:
今、会社選びにおいて、働くことで成長できるか、スキルが身につく会社であるかどうか、という点の重要性が上がっている。ただ日本企業の場合、そういった体制が、まだ社内で十分でないケースも多い。

P&Gの取り組みは、スキルを身につけ続けることは、今後の社会的な問題だからこそ、自社内に閉じずに、全体に提供していこうということだと思う。

堤 礼実 キャスター:
──確かに、時代が求める新しいスキルを身につける「リスキリング」への関心が高まっていますよね?

山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さん:
世界的に、会社の中で人材にどう投資するのか、というテーマで最もホットなのが、リスキリング。特にアメリカなどでは、今までジョブ型雇用中心でやってきたが、それだけではなく、社員にリスキリングを進めて、別の職種に移動してもらうというトレンドがある。

1人あたりの採用時コストを日米で比較すると、日本はアメリカの5~10倍といわれているのに対して、入社後の社員への教育コストは、日本はアメリカの6分の1から7分の1とされている。

それくらい、アメリカ企業は社員への教育に投資しているが、そういった社員のリスキリングや今のスキルを強化するアップスキリングに投資することは、今後、日本でも非常に重要。

スキルアップ対応が会社選びの基準に

堤 礼実 キャスター:
── P&Gにとってのメリットについては、いかがですか?

山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さん:
本音としては、社内で培ったスキルを社外に提供することで、リスキリングやアップスキリングについて積極的な人たちに会えるというのもあると思う。

どの企業も優秀な人材を採用したいと思うのは当然で、今まさに転職しようとしてる人以外でも、優秀な人といかに接点を持つかというのは重要。

そういう人に出会うためには、採用きっかけのイベントでは難しい現実がある。だからこそ、こういった取り組みによって、P&Gに入ると成長できる、スキルが身につくというイメージがつけやすい。

これからは待遇や働き方に加えて、自社に来るといかにスキルが身につくのか、これを明文化していくことは、採用力に直結するようになるのでは。

堤 礼実 キャスター:
こういった大手企業による教育を受けることで、1人の社会人として学べるだけではなく、企業の考え方や在り方なども知ることができるわけですよね。社会が成長し続けていくためにも、今回のような試みが広がっていくことを期待したいです。
(「Live News α」2月7日放送分より)

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