能登半島地震の発生から2月1日で1カ月。2020年の豪雨で大きな被害を受けた熊本・球磨村神瀬地区の住職が現地で被災者に寄り添った支援を続けている。豪雨災害の「恩返し」、住職の思いを取材した。
現地で支援続ける住職・岩崎哲秀さん
球磨村神瀬地区・岩崎哲秀さん:(現地は)片付けが全く始まっていない状況で、いわゆる炊き出し、被災者の胃袋を満たすという支援をしていた

こう話すのは熊本・球磨村神瀬地区神照寺の住職、岩崎哲秀さんだ。
球磨村神瀬地区は2020年7月の豪雨で球磨川や支流が氾濫し、多くの住宅が水に漬かった地区だ。豪雨災害を受け、集落では現在、宅地をかさ上げする工事が進められている。

岩崎さんは能登町を拠点にして珠洲市と輪島市を回る形で活動してきた。

豪雨災害の際に球磨村に石川県から支援物資が届いた経緯があり、「恩返しをしよう」と現地に入った。

岩崎哲秀さん:豪雨で被災した神瀬集落でも私が行くということでお米をたくさん集めていただいて、それを軽トラに積んで能登半島に運んだ
在宅避難の被災者に支援物資を届ける
これまでに2度、被災地に入り、約20日間、支援活動を行った岩崎さん。
1月25日は能登町の小木地区を回り、在宅避難を続ける被災者に米や野菜など支援物資を届けた。

岩崎哲秀さん:困っても支援を受けられない地域があるのを知っているのでその人たちに生野菜やお米、水を届けたいと思って活動している
豪雨災害で集落が孤立し支援が届かなかったことを経験した岩崎さん。
被災者だから分かる“支援のありがたみ”がそこにはあった。

在宅避難の住民:支援物資が届くということは、ほぼなくて、仕事も休業になったりしているので、買い物するのもためらったりする感じなのですごく助かります
在宅避難の住民:本当に助かる。近所の年配の人たちにも分けたい
病院への支援も…「恩返し」続ける
また、被災しながらも診療を続ける医療機関への支援も…。
岩崎さんは「病院であったり、役場であったり最前線で頑張っている人を後押しする支援ができれば」と話す。

この日は、能登町の総合病院を訪れ、医療従事者などに炊き出しの弁当を配った。

病院スタッフ:温かくてすごくうれしい。お肉を食べるのは久しぶりなので…
こちらの病院では現在も一部で断水が続き、透析や手術を停止。外来診療も小児科と精神科に制限している。

宇出津総合病院長谷川啓院長:小さいおにぎりとみそ汁という食事がかなりの期間、続いたのでボランティアによる支援は非常にうれしい
岩崎哲秀さん:まだ片付け作業、復旧作業に入っていない。この状態は災害発生当時の『緊急期』がまだ続いているという認識

能登半島地震から2月1日で1カ月。「微力だが、できることをやっていきたい」と話す岩崎さん、これからも「恩返し」の支援を続ける。
(テレビ熊本)