家具販売大手ニトリは、2024年3月の福井・敦賀市の出店で国内外で1000店舗を達成すると発表した。
創業者の似鳥昭雄会長は、2032年までに売上高3兆円、店舗数3000点を目指し、今後は海外展開に重点を置くと述べた。

海外展開重点に3000店舗を目標

家具やインテリアなどを販売するニトリは、国内外で1000店舗の達成が目前に迫る中、今後は海外展開に重点を置くと明らかにした。

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ニトリホールディングスは、2024年3月末に福井・敦賀市へ出店することで、国内外のグループ店舗数が1000店に達すると発表した。

2032年までに売上高3兆円、店舗数3000店を目指しているが、2024年2月1日付で事業会社「ニトリ」の社長に復帰する、創業者の似鳥昭雄会長は目標達成に向け、今後は「海外展開に重点を置く」と明らかにした。

ニトリホールディングス・似鳥昭雄会長:
今年、フィリピン、インドネシア、インドと増やし、出店スピードを速められるよう進めていきたい。

また今後の価格戦略について、似鳥会長は「値上げはもうしないつもりだ。円高に転じれば値下げをしていく」と強調した。

「高品質・低価格」を強みに差別化

「Live News α」では、一橋ビジネススクール教授の鈴木智子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
── ニトリの海外展開、どうご覧になりますか?

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
国内の家具市場は、約1兆1330億円規模で、横ばいに推移することが予測されているため、海外市場の攻略が欠かせないのです。

中でも、アジア太平洋地域は急速な都市化と、可処分所得の増加によって、住まいを豊かにするニーズは高まりを見せており、ここでニトリは勝負しようとしています。

堤 礼実 キャスター:
── 海外で勝負する際、ニトリの強みはなんでしょうか?

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
おなじみの「お、ねだん以上」という消費者にわかりやすい価格と品質の提供は、海外でも支持されるように思います。

この「お、ねだん以上」は、景気が低迷して、住宅や家具市場が振るわないときこそ、消費者に強く刺さります。実際、ニトリは日本経済が停滞している中で、上場以来、連続で増収増益を達成しています。

中国は不動産バブルが崩壊し、住宅不況の中にあります。この中国にニトリが積極的に出店しているのは、「お、ねだん以上」という強みに自信があるからでは。

堤 礼実 キャスター:
── ただ、世界の家具市場にはイケアなど、強力な競合もたくさんありますが、いかがですか?

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
グローバルで戦うためには、強い差別化が必要です。例えば、イケアといえば、優れたデザインと機能性を兼ね備えていることですよね。

一方、ニトリは高い品質を安く提供することで支持されています。明確なポジショニングが確立できていることは、ニトリが世界で戦っていくうえで強みになるでしょう。

もう1つ、イケアとは出店戦略に違いがあります。イケアは大規模店舗を中心に、約500店舗となっていますが、ニトリは今回、1000店舗を達成しています。

小型店出店はニトリの「ロマン」から

堤 礼実 キャスター:
── ニトリが大量出店にこだわるのは、どうしてでしょうか?

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
ニトリグループはパーパス、企業としての志を「ロマン」と呼び、創業当時から「住まいの豊かさを、世界の人々に提供する」というロマンを掲げていてます。その実現のために、郊外や商圏人口の少ない地域にも小型店を出店しているのです。

 今、パーパスと利益追求の両立が求められています。ニトリのグローバルプレゼンスが高まり、世界のブランドランキングで名をはせてくれることを期待したいです。

堤 礼実 キャスター:
品質と価格。コストパフォーマンスは、日本の製品の強みだと思います。ニトリの挑戦、期待したいですね。
(「Live News α」1月31日放送分より)

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