今まさに多くの人が大変な状況に置かれている能登半島地震。ふるさとの被災地を離れ、大阪に避難してきたある夫婦がいる。その決断の裏にあった思いは…

地震と火災から、2月1日で1カ月となる観光名所「輪島朝市」。一面焼け野原となったままだ。 1月31日、この朝市から徒歩10分ほどの広場に、仮設住宅が完成した。
記者リポート:地震の爪痕がいまなお残る石川県輪島市で、仮設住宅が初めて完成しました。
完成した18戸は、平屋建ての2DKと4LDKが用意されていて、厳しい寒さにも耐えられるよう、窓は3重ガラスになっている。原則2年間住むことができ、家賃は無料。輪島市では4000件を超える申し込みがあり、市は年代や家族構成などを考慮して入居者の選定を行っていて、入居は2月3日になる予定だ。
■ふるさとを離れ 大阪で生活立て直す夫婦

ふるさとから離れた大阪で日常を取り戻そうと動き出した人たちもいた。 石川県志賀町から夫婦で避難してきた藤沢吉朗さん(73)。1月15日から大阪・貝塚市に住む娘の早希さんの家に避難していた。
避難生活が長引くことが予想される中、生活の基盤を立て直そうと、大阪府が用意した泉佐野市の府営住宅に入居を決めた。
藤沢吉朗さん:(家の)土台がつんのめっとる。危ない。前に車通ると揺れる。土台がもうだめや。先が見えないもんね。断水続いて、ずっと余震も続いて。
妻・藤沢雅子さん:(Q石川を離れたくはなかった?)もちろんです。どうしようもない事。こればっかりは。
藤沢吉朗さん:生きることが先だった。
娘・早希さん:田舎ならではの、出ていきたくない(気持ち)。私がいるから出てきただけで、いなかったら絶対大阪には来ないから。
吉朗さんはスーパーで惣菜調理のパートの仕事をしていたが、石川を離れるため退職した。
■大阪府が被災者に用意した住宅 家賃は無料、最長で1年

大阪府の府営住宅、光熱費は自己負担だが、最長1年間借りられて家賃は無料だ。さらに生活に必要なコンロや炊飯器などの家電一式が設置されている。

藤沢雅子さん:(荷物を整理して)石川のしょう油です。もうこれだけしかない。電子レンジも新しくて、冷蔵庫も新しい。追い炊き機能が付いたお風呂でびっくりしました。

藤沢吉朗さん:本当にありがたい。寝られるところやね、安心して。(借りられるのは)原則1年ってなっているから、この先どうなるかね。
知らない土地で始める新生活。夫婦で支え合いながら日常を取り戻す一歩を踏み出した。