牛丼チェーンの松屋が、初の生パスタ専門店「麦のトリコ」を開店する。店内デザインや座席配置に工夫が施され、女性層の取り込みを狙い、国産素材や独自のソースで差別化を図る。松屋フーズは異なる業態の専門店を同一エリアに展開し、経営上のメリットを追求していく。

松屋フーズ初のパスタ店がオープン

牛丼チェーンの松屋を展開する松屋フーズが、女性の層を取り込むため、パスタの専門店をオープンした。

松屋フーズ初の生パスタ専門店「麦のトリコ」1号店
松屋フーズ初の生パスタ専門店「麦のトリコ」1号店
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牛丼以外にも、とんかつやステーキなど多くの事業を展開してきた松屋フーズは、創業以来初めてとなる、生パスタ専門店「麦のトリコ」の1号店を、神奈川県川崎市に2024年1月31日からオープン。

今回のパスタ事業への出店で、若い女性の層をターゲットに、松屋の牛丼などの店舗が出店している場所でも競合せずに出店でき、より多くの顧客を取り込みたい狙いだ。

店内のほぼ半分をカウンター席にしたり、一席の間隔を広めに取ることで、女性1人でも利用しやすい工夫をしているという。

パスタを店内で製麺するほか、松屋フーズの持つソース作りのノウハウを最大限に活かしているとしている。

差別化・複数業態でメリット拡大 

消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
現場主義の渡辺さんは、さっそく「生パスタ」のお店を取材されたということですが、いかがでしたか。

消費経済アナリスト​・渡辺広明さん:
飲食店の取材で一番のポイントは、お客様に支持される「美味しさ」があるかどうか。

他のお店と味を比較しやすい、定番のミートソースを実食したところ、生パスタならではのモチモチした食感が楽しめて、肉の取り扱いのプロ・松屋らしい、ミートのうま味を強調したソースは癖になりそうな美味しさでした。

この味を支えているのが国産素材で、北海道産の小麦、朝霧高原養鶏場の卵、さらには、富士山麓の軟水などを使用しており、これは差別化につながる。

なるほどと思ったのはメニューの工夫。5種類のソースが用意され、さらに、使用素材により、3段階の価格から選ぶことができるのは、お客様の心をつかむ可能性がある。

堤 礼実 キャスター:
松屋フーズは牛丼や、今回の「生パスタ」の他に、さまざまな業態の専門店を運営しているようですね。

消費経済アナリスト​・渡辺広明さん:
松屋フーズは牛丼以外にもとんかつ・カレー・すし・ステーキなど、9ブランドの専門店を展開している。

今回の生パスタ専門店がオープンした東急東横線の元住吉には、すでに牛丼などを提供する松屋が出店している。

ある地域で業態が異なる専門店を複数展開すると、エリアの胃袋のシェアを上げることができ、単一業態ではあり得ない売り上げのプラスが見込める。

複数の業態運営は、経営上のメリットも大きい。共通食材の仕入れができるなど、コストダウンが図れて、出店のノウハウの共有や共同の店舗開発、さらには、人材募集などの効率化も可能となりそう。

9ブランドの海外展開に注目

堤 礼実 キャスター:
今後、さらなる成長を図るためには、どんなことがポイントになるのでしょうか。  

消費経済アナリスト​・渡辺広明さん:
外食チェーンは国内市場が縮小していくため、アジアを中心に海外出店が成長のカギになる。松屋フーズも2009年に、牛丼の松屋を上海に出店させて以降、海外展開を進めている。

今後は、9ブランドの専門店を各国の状況に合わせて、海外出店を加速させることが期待できる。日本の食材を使用した今回のパスタ専門店が、本場イタリアで成功するような未来が待っているのかもしれない。

堤 礼実 キャスター:
松屋フーズによる生パスタの展開。新たな挑戦であっても、これまで培ってきたノウハウを活かして、新しい美味しさを届けてくれるのではないでしょうか。
(「Live News α」1月30日放送分より)

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