輪島市では甚大な被害が出た「朝市」の再開に向けた動きが始まり、避難所の高校でも3週間ぶりに水が通るなど、少しずつ復興に向けた歩みが進んでいる。そんな中、被災地に来て作業をする“県外の人”たちに、温かい料理を振る舞う活動を行う“被災者”がいる。

■全国から集まる支援スタッフ

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26日朝、石川県の馳浩知事が視察に訪れた輪島市の「朝市通り」。新たに復興への“道筋”が示された。組合員などによると、県の漁協や地元の商工会の協力が得られたことから、準備が整えば、金沢市内で海産物の加工や販売を再開し、将来的には元の場所で朝市の復活を目指したいということだ。

その輪島市では、25日、避難所となっている高校で約3週間ぶりに水道が復旧した。輪島市内の中心部で水が通ったのは初めてだということだ。この復旧作業にあたったのは、東京都の職員だった。

また輪島市には、罹災証明の発行に必要な「被害認定調査」のために、全国の自治体職員が駆けつけている。

北九州市の職員:少しでも早く罹災証明書を出せるように、1軒でも多くの建物を調査していきたい。

■温かい食べ物で県外からの“支援者を支援”する活動

さらに復旧作業にあたる県外の人たちを支援する動きも始まっている。

橋本由紀さん:きょうはフグの味噌仕立てだよ。あったかいし食べていきなよ。

橋本由紀さんは自身も被災しながら、炊き出しを行っている。地元のシェフたちで結成されたグループに所属し、被災者だけでなく、県外から来ている支援スタッフにも温かい食べ物を提供しているのだ。

橋本由紀さん:仕事に来てくれてる人が増えてるのに、みんな聞いたらレトルトとか。自販機も動いてないじゃない。

しかし、県外から来た人たちは複雑な思いを抱えていた。

県外からの支援スタッフ:市民の皆さんの邪魔をしているんじゃないかという気は少しありますけどね。

支援に来ている自分たちが、被災者のための炊き出しを食べるのは申し訳ないという。

■「復興ごはん」県外から来た人は1人500円募金

そこで橋本さんたちが考えたアイデアが…

橋本由紀さん:じゃあ、お金払ってもらえば食べやすいんじゃない。お金もらうのは本当の目的じゃないけど、でも食べにくいやろ。

県外から来た人には、1人500円募金してもらい、炊き出しの資金にすることにしたのだ。

「復興ごはん」という名前で、被災者のための炊き出しが終わった午後1時ごろから、毎日メニューを変えて提供している。

橋本由紀さん:ここみんな避難民でやってる。お金払って食べてくれたらうれしい。『ありがとう』って言えるじゃない。『ありがとう』って言いたいじゃない。『おいしかった』って言ってほしいし。

 橋本さんは県外から支援に来ている皆さんに、元気に声をかける。

橋本由紀さん:白菜いっぱいだから。どうですか、一杯500円で~す。

関西テレビ
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