運転手不足やバスの減便が相次いでいる北海道札幌市で、バス会社が路線バス運賃を2024年12月から30円値上げすることになった。

札幌市はバスの運転手の確保や、バス会社の収支改善、路線維持につなげるため、運賃の値上げに向けバス会社や市民の代表などによる協議会を立ち上げ、値上げ額などを議論している。

実質27年ぶりの値上げ

1月24日の協議会では、バス会社が12月に30円の値上げをすることが報告された。

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値上げ幅は約14%で、2023年の札幌市内のタクシーの値上げ幅とほぼ同じだ。

路線バス運賃の値上げは、2014年に消費増税に伴う10円アップを除くと、実質27年ぶりとなる。

30円アップに市民の声は

「しょうがないんじゃない。この値段で使わせてもらえてるから」(市民)

「値上げはしないでほしい。給料とか賃金とか上がっていかない一方で、バス代とか地下鉄代だけ上がっていくと困るな」

また、70歳以上の高齢者に交通費を補助する「敬老パス」の見直しを札幌市が検討していることから、困惑の声もあがっている。

「(敬老パスは)年間4万円くらい使ってる。結構な負担になりますね。老人が社会で動くためにはバス代くらい自由に安く使えてこそ健康を保てる。生活も楽しくなる」(市民)

「老人は動くなという感じを受ける」(市民)

バス運転手不足問題も

今回のバス運賃の値上げで、札幌市はバス運転手不足の解消や、路線維持につなげたいとしている。

北海道内のバス運転手は、厳しい状況にある。

運転手数は、1993年に8024人いたのをピークに減り続け、2022年には5496人と、約30年で3割りほど減少した。

全国の全産業の平均と比べると、平均年齢は55.3歳で11.6歳高い一方で、平均年収は308万6700円と、187万9000円低いのが現状だ。

今回の運賃値上げで、少しでも労働環境を改善し、運転手確保と路線維持につなげたいとしている。

バス会社は、定期券も値上げ幅に応じて算出するとしていて、値上げは避けられない。

この値上げでバス会社の収支は一時的には改善するが、5年後には再び値上げの議論の可能性も残されている。

廃止や減便が相次ぐ中での、値上げの議論。生活者の暮らしを支える「公共交通」としての役割を果たせるよう、今後も議論が必要になりそうだ。

北海道文化放送
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