いま、「鼻がムズムズするな」「目がかゆいな」と感じている人は、もしかすると「花粉症」かもしれない。ことしは、全国的に花粉の飛散が早まる見込みで、クリニックには、早くも花粉症を訴える人が訪れている。

JCHO大阪病院の耳鼻咽喉科診療部長を務める前田陽平医師が、皆さんのギモンに答える。

■すでに4割以上の人に花粉症の症状 今年から花粉症になる可能性も

この記事の画像(7枚)

LINEで「いま花粉症の症状が出ていますか?」と聞いたところ、43パーセントが「はい」と答えた。今年は花粉の飛散が早くて多いということだが、どのような影響が出てくるのだろうか?

JCHO大阪病院 前田陽平医師:例年は症状があまり出ない方も、今年は症状が出るということも、充分考えられます(Q.症状は強くなるのですか?)花粉の量が多いと、その分症状も強くなることが多い傾向にあります。その分、要注意と考えていただいたらよいと思います。

■花粉症はいきなり発症する

視聴者から「花粉症」に関する質問が多数寄せられた。

‐Q:長い間、花粉症ではなかったのに、急になるのはなぜ?(京都・60代)
JCHO大阪病院 前田陽平医師:スギはアレルゲンとしての性質が非常に強いものですので、それに長年暴露していうと、ある一定の量を越えたところで、発症してしまうケースが多いです。長い間、花粉症ではないという方が、ある年、発症するというのは、むしろ典型的ではあります。

質問してくれた方は60代だが、60代からでも発症する可能性はあるのか?
JCHO大阪病院 前田陽平医師:そういった方もいますが、もう少し年齢が下の方が多いかなと思います。

花粉症になりやすい人、なりにくい人の違いはあるのか?
JCHO大阪病院 前田陽平医師:アレルゲン側の要素と本人側の要素と両方あるということは間違いないのですけれども、どういった方が発症しやすいかというのは正確には難しいです。ただ、他にもアレルギーをたくさんお持ちの方とかは、発症する確率がより高いと考えていいと思います。

■重症者には注射での治療も

‐Q:市販薬はどの程度効果がありますか?(兵庫・60代)
JCHO大阪病院 前田陽平医師:市販薬といってもいろいろありますが、最近ではスイッチOTCという、元々は医者が処方しないとダメだった薬で、薬局で入手できるものも増えています。なかなか病院に行くのが難しい、しょっちゅうはいけないという方は、一度、薬局で相談してみて、花粉症の薬を買ってみる。最初はそれでやってみて、だめだったら病院に行くというのも1つのいい手ではないかと思います。

花粉症の治療には他にどのようなものがあるのか。 花粉症の治療は主に2つ、「対症療法」と「免疫療法」。

まず症状を和らげる「対症療法」。経口薬・鼻噴霧薬・目薬などによる治療法だ。この対症療法について、最近は重症者の方には注射での治療があるそうだ。

JCHO大阪病院 前田陽平医師:以前から花粉症に対して注射での治療はいくつかの施設で行っていましたが、それはステロイドという結構、副作用の強いものを使うので、花粉症に使うのはちょっと問題があるといった議論がかなりありました。新しいものはアレルギーの物質を抑えるタイプの薬で、最重症と言われるグループの方については、こういった薬が適用になる場合があり、効果がかなり高い薬です。

安全性も高く、効果も高いということだが、気になる費用は?

JCHO大阪病院 前田陽平医師:これは費用が高いというのが欠点で、ただ、ご本人のアレルギーの数値によっても変わってきます。安い方は数1000円レベルですが、高い方は3割負担でも、数万円、3~4万円になったりもします。(Q.1回でどれくらい効く?)3カ月使うことができて、花粉症に対しては2週間に1回、もしくは4週間に1回打つというスケジュールになります。先ほど申し上げたお値段は、1カ月あたりの値段ですが、効果が非常に高いので、(値段が)高いと言っていた方でも、一度使うと結構、次のシーズンも使いたいと言う方もいます。

■「免疫療法」は花粉が飛散していない間に行う治療

そして「免疫療法」。アレルゲンを直接投与することで、根本的に症状を改善する治療法。例えば治療薬を舌の下に入れて、ゆっくりと飲んでいく「舌下免疫療法」などがあるそうだ。免疫療法については、注意点があり、治療開始時期は飛散終了から、次回の飛散までの間にということだ。花粉が飛散し始めてしまった、今の時期から免疫療法は始められないということだろうか?

JCHO大阪病院 前田陽平医師:例えばスギだったらスギのアレルゲンを口の中に置くという治療なので、シーズン中のすごく反応しやすい時期に始めてしまうと、副作用が心配なので、思いっきり飛散している時期には開始しない方が良いとされている薬です。

今の時期からはもう対症療法になるということだ。すでに症状が出てきている人もいるが、早めに始めた方がいいのだろうか?

JCHO大阪病院 前田陽平医師:お薬はやはり早めに始めていただくことが効果的です。

‐Q:鼻うがいに効果はありますか?(大阪・50代)
JCHO大阪病院 前田陽平医師:これはシンプルに効果があると思います。鼻に花粉がついて症状が出るわけですから、それを洗い流せる鼻うがいというのは効果的です。ぜひ気になる方はやってみたらいいんじゃないかと思います。

■花粉への暴露を減らすと症状が軽減される

‐Q:薬以外で、普段の生活で症状を軽減する方法は?(滋賀・40代)

・花粉の多い日は屋内に!山より都会に注意。
JCHO大阪病院 前田陽平医師:秋の雑草の花粉は遠くに飛ばないので、雑草の近くに行かないということが非常に有効です。しかし、スギ花粉はすごい長い距離を飛んで、都会の方にもたくさん飛んできます。山は土だからそこに吸収されていきますが、都会はアスファルト、コンクリートなのでいったん地面に落ちた後、また舞い上がって、症状を起こします。なので、むしろ都会の方が症状が強く出るという事もよく見られるケースです。

・布団、洗濯物にも注意。
JCHO大阪病院 前田陽平医師:外に干すとたくさん花粉がついてしまうので、やはりシーズン中で花粉症が気になる方がいれば室内干しがおすすめです。

・花粉対策メガネは有効、服の素材にも注意が必要。
JCHO大阪病院 前田陽平医師:実際に花粉が鼻や目に入る量を減らすというのは、もちろん有効です。その意味でマスクやメガネ、特に花粉対策メガネは非常に有効です。服の素材では、もこもこした服を着てお部屋にかけることは、たくさん花粉が付いているものをかけているということになります。そうすると部屋の中でもずっと症状が出ます。ツルツルのものを着て行って、きれば玄関にかけておくようにすると、それだけで違います。例えば家に入る時にはらうというのも有効です。そういった細かいことで自分の花粉の暴露を減らすことで、症状も軽くなります。

■花粉症の発症予測はできない、暴露を減らすことが発症予防

‐Q:花粉症と風邪の見分け方はありますか?
JCHO大阪病院 前田陽平医師:なかなかきっちり分けるのは難しいのですが、目のかゆみというのは、普通、風邪では出ないです。あるいは、あお鼻が出るという状況であれば、普通は花粉症よりは風邪を疑います。例えば、38度以上の熱が出てますであれば、それは花粉症より風邪の方が考えやすいですよね。共通している部分ですよね。さらさらした鼻水とかだと、両方出るという事がありますが、症状によっては割と見分けられる場合もあります。

‐Q:花粉症予防に効果のある食べ物はありますか?
JCHO大阪病院 前田陽平医師:明確にこれがすごくよく効くと宣言できる食べ物は、現在のところありません。(Q.ヨーグルトが効くとか聞いたりしますが?)そうですね。例えば、一部の乳酸菌などは症状を和らげるというデータも少しありますが、やはりお薬と比較するほど効くということはありません。お薬の代わりにヨーグルトをたくさん食べればいいということにはなりません。

まだ発症していない場合、免疫抵抗力を上げるとかで、防げるのだろうか?
JCHO大阪病院 前田陽平医師:なかなかそこは難しいですね。例えば血液検査で反応が出ている方には、『症状がまだなくても、いずれは症状が出るかもしれませんね』という話をしますが、なかなか予測するのは難しいです。やはり花粉の暴露の量を減らすということが、非常に有効で、発症の予防にもなります。

自分で対策できることもあるが、症状が気になったときは、すぐに病院で診てもらってほしい。

(関西テレビ「newsランナー」2024年1月24日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。