FNNの1月の世論調査は、岸田内閣の支持率は27.6%と、先月から5.1ポイント上昇したものの、“内閣の危険水域“と言われる3割を3カ月連続で割り込んだ。
さらに派閥パーティー収入事件の”本丸“自民党の支持率は27.1%と岸田政権で過去最低となった。
(※FNN世論調査:1月20・21日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査・RDD方式 1019人調査)

【岸田内閣の内閣支持率】
支持する 27.6%
支持しない 66.4%
【自民党の政党支持率】
1月 12月 11月
27.1% 27.3% 29.0%
【自民支持層】派閥資金問題「厳罰化」「透明化」必要
自民党支持層は自民党の派閥のあり方についてどのように見ているのか?
【自民支持層:岸田首相「岸田派解散」への評価】
評価する 78.7%
評価しない 17.2%
まず、岸田首相が1月18日に“電撃表明”した「岸田派の解散」について、自民支持層の78.7%が「評価する」と答え、「評価しない」の17.2%を大きく上回った。
派閥パーティー資金事件で、岸田派の関係者も立件されることが明らかになった直後の、岸田首相の判断に対し、自民党支持者はこれを高く評価した。内閣支持率が5ポイント回復したのは、世論調査直前のこの判断がプラスに働いたことがうかがえる。

しかし、自民党支持層は、今回の派閥パーティー事件の再発防止に向けて「派閥解消」が解決策かと考えているかというと、必ずしもそうではないことが次の質問で明らかになる。
【政治改革に実効性のある措置】
自民支持層 非自民支持層
連座制などの罰則強化 33.7% 43.8%
政策活動費の透明化 31.0% 31.6%
派閥の解消 13.5% 8.1%
政治資金パーティー禁止 9.4% 11.7%
収入の公開基準引き下げ 9.5% 4.5%
調査では「政治改革に実効性のある最も必要な措置」について質問した。
自民党支持者の回答で最も多かったのは「連座制などの罰則強化」33.7%、続いて「政策活動費の透明化」31.0%、となった。「派閥の解消」が必要との答えは、半減以下の13.5%にとどまった。

自民党支持層が再発防止に最も必要と求めているのは、政治資金を不適切に扱った場合の国会議員への「罰則強化」、さらにその大前提として政治資金の使い道を「透明化」することだという調査結果となった。
【自民支持層】派閥解散「それぞれ判断」が半数
【自民支持層:派閥の解散について】
全て解散するべき 32%
それぞれ判断すればよい 55.4%
解散する必要はない 11.9%
この回答と連動するように、自民党支持層は、今回の派閥パーティー資金の裏金問題に対して、派閥の解散について、「全て解散するべき」が32%、最も多かったのが「それぞれ判断すれば良い」55.4%、「解散する必要は無い」11.9%となった。
自民党で長年当然視されていた派閥の存在に自民支持層の9割近くが、派閥解散に言及するというのは、自民党発足以来、異例の状況で「派閥解散」を求める意見が、かつてなく高まっているといえる。
ただし、派閥パーティー問題については、自民支持層の中で、派閥解消だけで再発防止が図られると考えるのは1割強で、「罰則強化」「透明化」が最優先との考えが約65%いるということが言える。

この傾向は、自民支持層に限ったものではないことも調査で明らかになった。
主要6政党の自民党を除く、非自民支持層(立憲・維新・公明・共産・国民)でも、最も多かったのは「連座制などの罰則強化」43.8%、続いて「政策活動費の透明化」31.6%が必要な措置として答えが多く、「派閥パーティーの禁止」11.7%「派閥の解消」8.1%、「政策活動費の使途の公開」4.5%となった。
政治課題の評価を問う世論調査では、自民支持層と非自民支持層の意見で賛否が大きく分かれることが通例だが、派閥パーティー収入の裏金問題については、自民党支持層も非自民支持層と同じく厳しい見方をしている、自民党にとっては深刻な現状であると言える。
【自民党支持層】党の自浄作用に“半信半疑”
ここで自民党の出直しに、“暗雲”ともいえる事態が、調査から明らかになった。それが自民支持層は、自民党の自浄作用に“期待薄”という状況だ。
派閥パーティー資金の事件への対処として、自民党は政治刷新本部で中間とりまとめ案を了承した。岸田首相は「派閥ありきの自民党から完全に脱却する」として、中間案では、派閥から金と人事を切り離すことを了承した。
さらに、収支報告書の提出に際して外部監査を義務づけるとして「透明化」を打ち出すとともに、会計責任者が逮捕・起訴された場合には国会議員も処分できるよう党則改正を行うとして「厳罰化」にも言及する内容となった。
【自民支持層:政治刷新本部への期待】
期待する 48.7%
期待しない 48.7%
自民党の中間とりまとめ案に先立つ世論調査では、政治資金問題について、自民党の政治刷新本部が再発防止に有効であるかどうかを質問した。
これについて自民党支持層では「期待する」48.7%、「期待しない」48.7%と評価は半分に分かれ、文字通り自民党の自浄作用には“半信半疑”という結果となった。

政治刷新本部の中間とりまとめ案に対しては、自民党議員内でも、小泉進次郎元環境相は「自民党が結党以来できなかった、派閥と人事の切り離しが明記された」と評価する一方、石破元幹事長は「派閥が金と人事を扱わない、ということをどう担保するのか」と実効性に懐疑的な見方を示すなど、賛否は分かれている。
中間案に基づいて自民党が具体的にどう実行しているのか、自民党支持層も見極めはこれからとなりそうだ。
【自民党支持層】政治資金規正法改正「必要」85%
【自民支持層:政治資金規正法の改正】
必要 85.5%
必要ない 11.2%
党の自浄作用に“半信半疑”の中、調査では、実効的な措置として政治資金規正法の改正を求める声が高いことが明らかになった。
自民支持層での法改正が「必要」との意見は85.5%、「必要ない」は11.2%にとどまり、自民党の党則改正にとどまらず、今国会で政治資金規正法を改正して「厳罰化」や「透明化」が必要との声が圧倒的な多数を占めた。
岸田首相は、新年最初の1月4日の会見で「政治資金規正法の改正など法改正な必要な議論も、必要性が指摘されることはありうることだと思う」と述べたが、その後、資金パーティー問題は、現職自民党議員が逮捕、略式起訴、在宅起訴される事件に発展した。
今国会で自民党が政治資金規正法で「厳罰化」「透明化」にどこまで自主的に踏み込んでいけるかが問われる。
(執筆:フジテレビ政治部 西垣壮一郎)