バスにかわって過疎地の地域交通の切り札となるか。広島県内では各地の公道で、自動運転車の実証実験が行われているが、江田島市では、ミニバンによる実験が始まった。サイクルロードを走る自転車との共存が課題だ。

細い道が多く、バスより小回りがきく車が便利

広島県江田島市での初の実証実験ではミニバンが使われている。

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江田島市 企画振興課 𠮷田大輔さん:
江田島市内は片側2車線の道がなく、小回りがきく車両が、細い道も多いところに適しているのかなと思っている

少子高齢化が進む中、江田島市でも持続可能な公共交通の実現が喫緊の課題となっている。

現在、市がほとんどを出資する第三セクターがバスを運行しているが、ドライバーの高齢化などに直面しており、今後を見据えると少しでも早く新たな形に手を打っておきたいのが“本音”だ。

事前に集めた道路データ、GPS、障害物センサーで自動運転

そこで今回は実証実験を国の補助事業で群馬県の会社に委託。

日本モビリティ 小峰千紘社長:
円柱型のものがレーザーセンサー、あらかじめ取得したデータと、走行して取得したデータを重ね合わせて、車両の位置情報を計測している

車のまわりに計8個の障害物検知センサーをつけた7人乗りの車を使い、バス路線の一部区間を走らせる。

前面のセンサー
前面のセンサー

通常の車と比べて車内に特に大きな違いはなく、タッチパネル式のモニターが1つ取り付けられている。

運転席左のタッチパネルモニター
運転席左のタッチパネルモニター

加藤雅也アナウンサー:
いま静かに走り出しました。運転席にいるドライバーの方の手はハンドルに直接触れているわけではありません。ハンドルが自動で回っていますね

ドライバーはハンドルに触れていない
ドライバーはハンドルに触れていない

自動運転「レベル2」のためドライバーが運転席に座っているが、ハンドル操作やアクセル、ブレーキは緊急時をのぞき全て「自動」。

加藤アナウンサー:
速度も信号に差し掛かると減速しました。乗っている感じでは、何らドライバーの方が運転している隣に乗っている感覚と変わりありません。かなりしっかり安全確認や信号やカーブに差し掛かる時の減速、このあたりの速度管理もしっかりしているなという印象です

障害物に対してはアラートを出しドライバーが手動停止

しかし、駐車しようとするトラックの動きに対しては…。

前方にトラック
前方にトラック

♪(アラート音)周囲の安全を確認してください

アラートと自動音声で注意を促す
アラートと自動音声で注意を促す

安全を優先しドライバーが手動でブレーキを踏んだ。

サイクルロード上の自転車との共存が課題

また、今回の運行会社は全国各地で実証実験をしているが、これまであまり出ていない課題が江田島市で浮き彫りになったという。

日本モビリティ 小峰社長:
江田島市はサイクリングロードが走行ルート上にあるが、自転車を障害物検知で拾ってしまうとブレーキがかかってしまうので、自転車と自動運転車お互いがどのようにすれば、スムーズに走れるのかということを今後解決していかないといけない

サイクリングは江田島に人を呼び込むアクティビティの一つなので、悩ましいところだ。江田島市では20、21日に市民を対象に試乗体験会を開き、意見を聞く予定で、すでに60人ほどが予約している。

江田島市 企画振興課 𠮷田大輔さん:
一刻も早く、というところはあるが、みなさんの協力をいただきながら実現していきたいなと思う。

今回の自動運転は「レベル2」だが、技術的にはドライバーがいない「レベル4」の自動運転もできるという。ただ、それを実際に運用するには警察や国交省の認可が必要。

加藤雅也アナウンサー
加藤雅也アナウンサー

福井県では無人電動カートによる「レベル4」の運行が始まっている。ドライバー不足の問題は待ったなしなので、市民の意見も参考に最新技術を利用して、地域の課題解決に期待したいところだ。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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