16歳、広島の高専生。車が好きすぎて、運転免許はまだだが、廃車になった車を改造し、キャンピングカーを独力でつくり上げた。本人にとっては子どものときの「秘密基地」的な特別な空間「サードプレイス」のようだ。その次の夢も着々と実現へと向かっている。

エンジンはかからないが、中は「特別な空間」

広島県の呉工業高等専門学校で、学生らが車を手で押していた。

広島 呉工業高等専門学校
広島 呉工業高等専門学校
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呉工業高等専門学校生:
エンジンが止まっているんで、僕らがエンジンになっている感じですね

授業の一環で廃車になった車の内部をキャンピングカーに改造したのは、呉工業高等専門学校の林聖和(はやし まさかず)さん16歳。まだ運転免許は持っていない。学校では設計などを学んでいる。

呉工業高等専門学校 林聖和さん:
私は寮に住んでいるんですけれども、寮が2人部屋なので1人になる時間もなくて。第3の空間じゃないですけど、特別な1人の空間というものがキャンピングカーじゃないと出てこないものだと

クリスマス恒例の学校開放日の16日、1年がかりで作った車を披露した。

子供:
秘密基地みたい

林さん:
そう、秘密基地みたいでしょ。車なんだよ

Q:乗り心地はどう?
子供:
一番いい。家のベッドより、めっちゃいいんだけど

中はウッディーなくつろぎのスペース

自力では走れないが、おしゃれな内装は子供たちに大人気だ。

車内は木目調の優しい雰囲気が広がっていて、床はふかふかしている。

五十川記者:
大人1人が入っても十分な広さがあります。どちらかと言うとキャンピングカーと言うよりもカプセルホテルに近いかもしれませんね。くつろげます

内装は、壁から天井まで、杉の木が敷き詰められている。

天井も杉の内装
天井も杉の内装

床は長時間、寝転がっても腰が痛くならないように、厚さ10センチのマットレスを自分たちの手で作った。

呉工業高等専門学校 林聖和さん:
実を言うと私自身、キャンプの経験はあまりなくてですね…。キャンプよりも本当に車一本で、車が大好きなので、それで本当に車、車で

将来、自動車関連の仕事に就くことが夢だという林さんは、物心がついたときから大の車好き。その情熱で仲間を増やしていき、最終的には呉市内の車販売店に出向き、廃車を無償で譲り受ける交渉もしました。

車好きが高じて廃車をほぼ無料でゲット 次の計画は家族ぐるみで

廃車を提供した車販売店の人:
免許も持っていないのに車に対する情熱が激しすぎて、これは面白い子だなと思って。まさかここまで仕上げるとは

車体の外側のカーラッピングも広島市の企業に引き受けてもらうなど、大人たちの胸も借り、独創的な一台を生み出した。ただ、林さんの挑戦はこれで終わったわけではない。

呉工業高等専門学校 林聖和さん:
色々と交渉して買っていただきました

まだ運転免許を持っていないのに新たに、エンジンがついた中古車を両親に契約してもらったのだ。夢とは言え、多額の出費を伴う今回のプロジェクトは、家族会議で一旦はブレーキがかかったという。

母・裕美さん:
お金の大切さを感じてもらいたいので、買っていいよとは言いたくなかった

父・洋文さん:
私は、「お母さんの説得を頑張れ!」と。なのでどちらかと言うと聖和と一緒になってタッグを組んで店を回り、車を選び、どういうメリットがあるというのを、あーでもない、こうでもないと、2人かかりで説得したよな

林さんは将来的な採算を見込んだ企画書を作り、母・裕美さんを説得した。

母・裕美さん:
「これがダメ」と言っても「じゃ、これはどう?」という感じで、夢を叶えるまで色んな提案をし続けてくることは見えていましたので、車探しに時間を費やすより、早く取り掛かったほうが時間を有効に使えるのではないかなと思って

クラファンで資金を集め、キャンピングカーのレンタルをめざす

車が好きという情熱で周囲を巻き込み、家族を説得し、ついに本当に動く車を手にすることができた。次に目指すのは広島県内を中心とした一般の人向けのキャンピングカーのレンタル事業だ。

今回培った改造のノウハウをもとに、今後はクラウドファンディングで資金を募る目標もあるという。運転免許が取れる2025年の春までには新たな車を完成させたいと、林さんの夢は膨らむ。

呉工業高等専門学校 林聖和さん:
ホテルを取らなくてもパーキングエリアとかサービスエリアでとまって、後ろにいけばベッドルームがあるので、そこで寝れる。早く免許を取って、次の車を運転して、車中泊に出たいなという思いがあります

16歳の車にかける情熱が、これから、どんな形に発展していくのかが、気になるところだ。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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