札幌市が70歳以上の高齢者を対象に地下鉄やバスなどの利用料金を優遇するいわゆる「敬老パス」。
約20年ぶりに制度見直しの検討を進めているが、市民からは反対の声もあがっている。
「敬老パス」方針転換に紛糾
札幌市北区で午後から始まった意見交換会。
「敬愛、敬愛というがほど遠い」(参加者)

「論理が矛盾しています」(参加者)
「そういう話を聞きに来たんじゃないんです!」(参加者)
「今、(別の人の)ご質問にお答えしています」(市の担当者)

交通費を補助する札幌市の敬老パスは高齢者の外出する意欲を高め、明るく豊かに暮らしてもらおうと、1975年に始まった。
当初は無料だったが、2005年から市民の一部負担が生じ、今では最大1万7000円の自己負担で、地下鉄・バス・路面電車の料金として、7万円分使える。

特典額は5万3000円。
公共交通機関を多く利用する高齢者にとっては貴重なサポートだった。
「(今後は)アプリやポイントカードで楽しみながらポイントをためてもらう」(市の担当者)
高齢者のうち半分が「敬老パス」を使用していない実態
変更する理由として、札幌市は約43万人の高齢者のうち、半分が「敬老パス」を使っていないことや、利用回数の多い人が全体の9%ほどしかいないことをあげている。

事業の予算は従来通り約50億円。
札幌市は「敬老パスは交通政策ではなく福祉政策で転換期を迎えている」としている。
“敬老パス”をポイント制に転換へ
この方針転換に、市民からは不満の声があがっている。
「足や腰が痛いと歩けないので、2万円の上限をなくしてほしい」(参加者)

意見交換会は想定を超える人が集まったため予定を2時間ほど早めて始まり、紛糾した。
バスや地下鉄、路面電車で使えるいわゆる「敬老パス」は、現在は70歳以上の方が利用可能だ。
今後は例えば歩いた歩数や外出先でポイントを獲得できるようなポイント制への変更を検討している。
紛糾している理由"金額や手段"
これまでは自己負担額が最大1万7000円で、7万円分をもらうことができ、補助額は最大5万3000円分あった。
今後は自己負担額はなくなるものの、ポイントは最大2万円分になる。

補助金額が減るうえ、お金を払えばもらえるわけではなく、自らの足でポイントを稼ぐ方法に変更になる。
札幌市はポイント制に変更することで、タクシーやJRに加え、電子マネーとして日常生活の支払いにも使えるようにし、外出によって心身ともに健康になってもらう狙いがあるとしている。
ただ、市民からは賛否の声があがっている。

敬老パスの利用者からは、「高齢者の交通費補助の減額だ」「負担感が増え、出かける気がなくなる」と不満の声。
一方、敬老パスを利用していない人からは、「外出先でポイントをもらえるなら回数が増えそう」「ポイントで孫にプレゼントできそう」という声も聞かれた。
札幌市は1月末までに市内すべての10区で意見交換会を行い、2025年度の導入を目標に議論を進めたいとしている。